第16話 ニンジン
中島さん『ニンジンって変な野菜だよね』
僕の名前は寺野かずお、普通の男子高校生です。
今日の中島さんは野菜の『ニンジン』について疑問があるようです。
中島さん『ニンジンって変な野菜だと思わない?』
寺野くん『そ、そうかな?あまり考えたことはないけど…』
中島さん『何かニンジンだけ他の野菜と違うような気がするんだよね』
寺野くん『うーん、例えばどんな所が違うと思うの?』
中島さん『ちょっと待ってね、書いてきたから…』
寺野くん『書いてきた?』
中島さんはカバンの中から1枚の習字の紙を取り出しました。
その習字の紙には漢字で【人参】と書いてありました。
中島さん『…どう思う?』
寺野くん『どう思うって…【人参】って書いてあるなぁと思うよ』
中島さん『おかしいと思わないの?』
寺野くん『漢字の当て字がおかしいってこと?』
中島さん『そうだよ!【人参】って書いたら
ニンジンじゃなくて【ひとさん】って読めるじゃん!』
寺野くん『ま、まぁたしかに何でそれでニンジンって読むんだろう?
って思う人も多いとは思うけど…』
中島さん『ひとさん!ひとさん‼』
寺野くん『ちょ、ちょっと!騒がないでよ中島さん!』
中島さんは【人参】と書いてある習字の紙を手に持ちながら
『ひとさん』と叫びながら騒いでいたため、
教室にいるクラスメイトから注目を浴びてしまいました…
中島さん『ひとさん!ひとさん‼』
寺野くん『もうわかったよ!確かに【人参】って書いて
【ひとさん】とも読めるけど!それで何で
中島さんが【ひとさん】って言いながら騒いでるの!』
中島さん『おかしいからだよ!ひとさん!ひとさん‼』
寺野くん『ストップ!ひとさんって言うの禁止!』
中島さん『ぶー!でも【人参】っていう漢字の付け方はおかしいでしょ?』
寺野くん『ま、まぁそうだけど…』
中島さん『なので、ニンジンについて色々と調べてきました』
寺野くん『そ、そうっすか…それで何かわかったの?』
中島さん『まずはニンジンの色!
ニンジンだけ色がオレンジ色みたいな野菜っぽくない色で、
なんだか変だと思わない?』
寺野くん『あぁ、そういえば野菜って言われたら緑色のイメージかも…
ニンジンみたいに鮮やかな色がついてる野菜って珍しいのかもね』
中島さん『次はニンジンの栄養素!寺野くん知ってる?』
寺野くん『えーと、ニンジンの栄養素といえば【カロテン】だっけ?』
中島さん『そうです!でも私が調べた所によると
【カロテン】だけを取りすぎると逆に体に悪いんだって!
他の栄養素も取らなきゃいけないらしいよ!』
寺野くん『へー、そうなんだ。バランス良く栄養を取るのって難しいんだね』
中島さん『そして!ニンジンが好物の動物といえば?寺野くん?』
寺野くん『えーっと、馬とかウサギとか…?』
中島さん『だと思うでしょ?でも違うんだって!
馬もウサギも、そんなにニンジンは好きな食べ物じゃないらしいよ!』
寺野くん『えー?だって馬の目の前にニンジンを吊るして速く走らせるとか、
ウサギはニンジンが大好物だ、みたいなイメージってあるのに』
中島さん『でしょ?でも実際に馬にニンジンをあげすぎると残しちゃうらしいし、
ウサギもそんなにニンジン好きじゃないんだって!』
寺野くん『へぇ、ピーターラビットとかが
よくニンジンを食べてるようなイメージのせいなのかなぁ?』
中島さん『あと駄菓子屋さんに、謎の【にんじん】っていうお菓子あるよね、
あれ中身ニンジンじゃないし』
寺野くん『ああ!あったあった!ポン菓子みたいなやつだよね』
中島さん『いっぽんで~もニンジン♪っていう歌もあったし』
寺野くん『あ~聞いたことあるかも…』
中島さん『Piaキャロットへようこそ!っていうゲームも
人気の根強いゲームだよね!』
寺野くん『ええっと…ゴメン、そのゲーム知らない…』
中島さん『まぁ話をまとめると、ニンジンは変な野菜だから
【ひとさん】っていう呼び方の名前に変えようって事でいいよね?』
寺野くん『な、何なのそれ?全然まとまってないよ!
そもそも中島さんはニンジンをどうしたいの?』
中島さん『いや別に、ニンジンって変な野菜だなぁ?って思っただけだよ』
寺野くん『それじゃあ食べ物の野菜としてのニンジンは好きなの?嫌いなの?』
中島さん『私はニンジンよりダイコンの方が好き』
寺野くん『そ、そうなんだ…ニンジンしりしりとか美味しいのに…』
中島さん『ニンジンしりしり?』
寺野くん『え?知らない?ニンジンしりしりっていう料理、食べたことない?』
中島さん『ニンジンしりしり?漢字で書いたら【人参尻尻】って書くの?』
寺野くん『ち、違う!違うよ!』
中島さん『人参尻尻…ひとさんしりしり、だ!』
寺野くん『ええ?』
中島さん『ひとさんしりしり!ひとさんしりしり‼』
寺野くん『あぁ…また始まった…』
中島さん『ひとさんしりしり!ひとさんしりしり‼』
そのまま中島さんは『ひとさんしりしり!』という謎の言葉を1日中言い続けた…
寺野くんは無表情のまま中島さんを見続ける事しかできなかったそうです…
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