第15話 太古


中島さん『私はこの時代に生まれるべきじゃなかったのかな…』

 

 

 

 

僕の名前は寺野かずお、どこにでもいる普通の男子高校生です。

今日の中島さんは何だか思い詰めているみたいなのですが…

 

 

 

 

中島さん『寺野くん、私は現代に生まれないほうが良かったのかな?』

 

寺野くん『え、え~と、何かあったの?中島さん?』

 

中島さん『私の存在は遥か【いにしえの時代】の存在なのかも…』


寺野くん『…え~と、僕にもわかるように説明してもらえますか?』

 

中島さん『神様のお告げなの』

 

寺野くん『神様?どういうことなの?』

 

中島さん『神様からのメッセージなの、【太古】っていうメッセージなの』

 

寺野くん『太古?』

 

中島さん『太古って恐竜時代くらいの大昔の事なんだって、

     私は太古の時代に生まれた方が良かったのかもしれないんだよ…』

 

寺野くん『(また何かに影響されちゃったのかな…)』

 

中島さん『私ね、神様からのメッセージは無視しちゃいけないと思うの!

     だから私なりに頑張って【太古】の事を色々と調べてみたの!』

 

寺野くん『う、うん』

 

中島さん『まず昨日、お父さんに【太古】っていうメッセージに関して

     何か知ってることはないか聞いてみたの!

     そしたらお父さんが【火の鳥・我王の冒険】っていう

     ファミコンのゲームで見たことがあるって言ってて、

     そのゲームをやってみたの!』

 

寺野くん『えぇ?いきなりゲームの話になるの?』

 

中島さん『うん、そしたらそのゲームの中に

     【太古】っていうステージが出てきたの!

     やっぱり恐竜とかが出てくる大昔のステージだったよ!』

 

寺野くん『そうなんだ、そのゲームで【太古】について何かわかったの?』

 

中島さん『いや、太古の意味はわからなかったけど、

     とりあえずそのゲームは面白かったからクリアしたよ!』

 

寺野くん『(遊んでただけなのでは…)』

 

中島さん『でね、結局そのゲームをクリアしても

     【太古】の謎の意味はわからなかったから、ネットで調べてみたの。

     そしたら【太古丸】っていう船があったの!』

 

寺野くん『へぇ、そんな名前の船があるんだね』

 

中島さん『その【太古丸】っていう船は

     博多から五島列島を行き来してるフェリーなんだって!』 

 

寺野くん『そ、それじゃ【太古丸】っていう船に

     その神様からのメッセージとやらの謎が隠されてるってことなの?』

 

中島さん『う~ん、でも神様からのメッセージは

     【太古丸】じゃなくて【太古】なんだよね…

     1文字ちがいで惜しいんだけどなぁ』

 

寺野くん『そうなんだ…というか僕はまだ

     【神様からのメッセージ】っていうのがよくわかってないんだけど…』

 

中島さん『でね!まだ他に手掛かりがないかネットで調べてみたの!』

 

寺野くん『(話を押し切られた…)』

 

中島さん『そしたら香港の地下鉄の駅の名前で【太古駅】っていう駅があったの!

     もしかしたらその駅に何か【太古】に関しての

     手掛かりがあるかもしれないよ!』

 

寺野くん『ほ、香港って…』

 

中島さん『寺野くん!』

 

寺野くん『な、何ですか?』

 

中島さん『行こう!』

 

寺野くん『え?も、もしかして…』

 

中島さん『香港に行くんだよ!ほら、準備して!』

 

寺野くん『やっぱり!なんでそんなよくわからない理由で

     いきなり香港に行かなきゃいけないの!』

 

中島さん『大丈夫だよ!お金だったら私が出すから!』

 

寺野くん『そういう問題じゃないよ!僕、パスポートも持ってないし!』

 

中島さん『パスポート作ろう!』

 

寺野くん『そんなすぐに作れないよ!』

 

中島さん『なんで?私と香港に行くのが嫌なの?』

 

寺野くん『そ、そうじゃなくて…

     どうしても香港に行かなきゃ解決できない事なの?

     そもそも何なの?神様からのメッセージって?』

 

中島さん『だって神様が【太古】って私に伝えたんだもん!』

 

寺野くん『さっきからそれがわからないんだよ!

     中島さんはどういう風に神様からメッセージを受け取ったの?』

 

中島さん『え?コレだけど…』

 


 

 

 

 

中島さんはポケットから小さい紙を取り出して僕に見せてきました。

その紙にはたしかに【太古】と書いてあるのですが…

 


 

 

 

 

寺野くん『…これって、おみくじだよね?』

 

中島さん『そうだよ。初詣でおみくじ引いたら【太古】って出たの!』

 

寺野くん『たぶんこれ【大吉】だよ』

 

中島さん『え?』

 

寺野くん『ほらこれ、よく見てみてよ。

     【大】の下の所に点が付いてるように見えるけど汚れてるだけだし

     【古】の字はたぶん印刷ミスだねこれ』

 

中島さん『じゃあ【太古】じゃなくて【大吉】なの?』

 

寺野くん『そもそもおみくじに【太古】なんて無いよ!』

 

中島さん『それじゃあ私と【太古】っていうのは…』

 

寺野くん『全く関係ありません!』

 

中島さん『なんだーせっかく香港ツアーに申し込もうかと思ったんだけどなー』

 

寺野くん『もしかして香港に行きたかっただけなんじゃ…』

 

中島さん『でも寺野くん!パスポートは作っておいてよね!』

 

寺野くん『だ、だから海外に行く予定なんてないから…』

 

中島さん『いいの!パスポート作るの!』

 



 

 

 

 

 

今回も結局は中島さんの勘違いが原因でしたね…

しかしなぜ中島さんは寺野くんと香港に行きたかったのでしょうかね…?

 

まぁ香港と言ったらハネムーンなんですけどね…

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