第13話 水色
中島さん『水は色がついてないよ』
僕の名前は寺野かずお、ごく普通の男子高校生です。
今日の中島さんは『水の色』について疑問に思うことがあるみたいです。
中島さん『水に色がついてないんですけど』
寺野くん『そ、そりゃそうだよ。何言ってるの?』
中島さん『水なのに水色じゃないじゃん。【水の色】で【水色】でしょ?』
寺野くん『あぁ…またそういう感じのギモンですか…』
中島さん『でもさ!見て!このミネラルウォーター!中身は水でしょ?
でも透明だよ?水なんだから水色じゃなきゃおかしいんじゃない?』
寺野くん『う~ん、確かに水は透明で、水色はうすい青色だもんなぁ…』
中島さん『なんで?【水の色】って書くなら水は全部うすい青の【水色】
じゃなきゃおかしいんじゃない?
透明だったら【水】っていう名前を使わないで欲しいんですけど!』
寺野くん『ま、また変な怒りかたして…でも水が水色だったら何か気持ち悪いよ』
中島さん『私は世の中の水を全部【水色】にしてみせるよ!』
寺野くん『えぇ…例えばどうするの…?』
中島さん『まずは水道だね!水道から出てくる水を水色にしようよ!』
寺野くん『そんなのすぐに水道屋さんが来ちゃうよ!
水道から気持ち悪い水色の水が出てる!って大騒ぎになるよ』
中島さん『えー水色の水が水道の蛇口から出てきたらキレイだと思うんだけどなー』
寺野くん『その水色の水を飲んだり、顔を洗ったり、歯磨きしたりできるの?』
中島さん『私はできるよ!慣れだよ、慣れ!』
寺野くん『(あぁ今日もこの子を説得できなさそうだ…)』
中島さん『他にもさ、水道につないだホースから水色の水が出てきたら、
庭の水まきとか車の洗車とかも楽しいと思うんだけどなー』
寺野くん『うわぁ…なんかホースから青いスライムが出てくるイメージだよ…』
中島さん『銭湯のお風呂の水の色も水色にしよう!』
寺野くん『あぁ、それは入浴剤の色みたいで良いかも』
中島さん『マーライオンの口から出てくる水も水色にしよう!』
寺野くん『あぁ、それも見てるぶんにはキレイかも…』
中島さん『小便小僧のちんちんから出てくる水も水色にしようよ!』
寺野くん『ちょ!中島さん!ちんちんって言っちゃダメ!』
中島さん『あはは!ちんちん!ちーんちん!』
寺野くん『やめて!お願いだから!また皆から注目浴びちゃうから!』
クラスメイトの皆がチラチラと中島さんを見ています。
ちなみに中島さんは声がすごく大きいです。
中島さん『あはは!まぁともかく私は色々な水の色を水色に変えたいよ!』
寺野くん『ハァ、もう好きにしてくださいよ…』
中島さん『例えば他にも水たまりの水の色とか、
川の水、海の水、噴水の色、下水の色とかも全部水色にしちゃおうよ!』
寺野くん『あー自分の生活に関係ない水の色だったら水色になっても良いかも…
見ているぶんにはキレイで良いかもしれないね』
中島さん『お笑いコンビの和牛の水田も水色にしちゃおうよ!』
寺野くん『それは意味がわからない』
中島さん『う~ん、でも【みずいろ】って聞くとちょっと怖いよね。
PCゲームの初回プレス版をアンインストールすると
ハードディスク初期化されちゃうし…』
寺野くん『な、中島さん?何の話してるの?』
中島さん『よし!とりあえずやってみるか‼
寺野くん!私、ちょっと電話してくる‼
放課後に学校のプールの前で待っててね!』
寺野くん『え?え?中島さん?ちょっと!どこ行くの!』
中島さんは教室を飛び出してしまいました…
そして放課後、寺野くんは中島さんに言われた通りに
学校のプールの前で中島さんを待ち続けました…
すると大量の青色のペンキを持った中島さんがプールにやってきました。
中島さん『よぅし、やるよー!』
寺野くん『あぁ…もしかして…』
中島さんは持ってきた大量の青色のペンキを学校のプールの中に全て投げ込んでしまいました!プールの色がみるみると水色に変わっていきます…
寺野くん『あぁ……どうすんの、プールの水が水色になっちゃったよ…』
中島さん『あはは!超キレイじゃない?』
寺野くん『色は確かにキレイだけど…このプールの水の片づけをどうすんの?
って言ってるの!先生に怒られちゃうよ!』
中島さん『大丈夫、大丈夫!寺野くんプールで泳ごうよ!』
寺野くん『嫌だよ!ペンキ入りのプールなんて入りたくないよ!』
中島さん『大丈夫だって!えいっ!』
寺野くん『うわっ!』
寺野くんは中島さんに押されて服のままプールにドボン!と入ってしまいました。
それに続いて中島さんも自分から水色のペンキのプールに飛び込みました!
中島さん『あはは!気持ちいー!』
寺野くん『あーもう!どうにでもなれ!』
中島さん『えへへ、寺野くんはいつも私に付き合ってくれるね!』
寺野くん『ま、まぁね。それは何か中島さんを
他の人に任せると大変なことになりそうだから…』
中島さん『寺野くんは私のパートナーだね!』
寺野くん『う、うん、中島さんが良いならパートナーで良いよ…』
中島さん『えへへ、これが青春なのかねぇ、』
寺野くん『ど、どうなんでしょうね…』
その後、プールから上がって服がスケスケの中島さんを見ないように…
みたいな青春ラブコメをしていた寺野くんであったが、
水色になったプールの水はどうするの?という寺野くんの問いかけにも
中島さんは「大丈夫、大丈夫」の一点張りで、
その後、中島さんは家に帰ってしまった…
次の日、寺野くんが学校のプールの様子を見に行くと、
プールの水は元通りの水に戻っていた。
なぜ中島さんのイタズラは一日経つと無かったことになるのだろうか…謎である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます