第10話 豆


中島さん『テレビで謎のCMを見たんだけど…』

 

寺野くん『謎のCM?』



 

 

 

 

僕の名前は寺野かずお、いたって普通の男子高校生です。

今日も中島さんは疑問に思った事を僕になげかけてくるのです…



 

 

 

 

中島さん『昨日、なんか変な謎のテレビCMを見たの』

 

寺野くん『確かに最近は変なテレビCMが多いからね、どんなCM?』

 

中島さん『なんか【豆しば】とか言って

     謎の豆のアニメキャラクターが空から降ってきて

     人間によくわからないことを教えるCMなの、

     何を宣伝するCMだかわからないの』

 

寺野くん『あぁ、あのCMか、最近よく見るよね』

 

中島さん『あの豆のCMは何を宣伝したいCMなの?』

 

寺野くん『か、考えてみれば、あのCMには

     企業名とか商品名みたいなのは無いけどね…』

 

中島さん『う~ん、謎だなぁ~よくわからんなぁ~』

 

寺野くん『まぁ、あのアニメの豆のキャラクターが

     【豆しば】っていう犬の名前なのは

     キャラクターの絵を見たら犬みたいだからわかるよね、

     それでその豆のキャラクターは【豆】だから豆知識を教えてくれる

     っていう豆という言葉だらけのCMだよね』

 

中島さん『豆知識を教えてくれてなかったよ』

 

寺野くん『え?』

 

中島さん『私が昨日見たそのCMでは、あの豆のキャラクターが

     【ねぇ知ってる?フランスではタンポポの事をオネショって言うんだよ】

     っていう謎の知識を人間に教えてたんだよ』

 

寺野くん『豆しばが豆知識を教えてくれるっていうダジャレみたいなCMだよね』

 

中島さん『豆知識を教えてくれてないじゃん』

 

寺野くん『え?あのCMは

     【フランスではオネショという日本語の発音がタンポポという意味】

     っていう事を教えてくれてる豆知識のCMっていう事だと思うけど…』

 

中島さん『それは豆の知識じゃないじゃん』

 

寺野くん『どういうこと?』

 

中島さん『豆知識って豆の種類とかの知識の事じゃないの?』

 

寺野くん『ち、違うよ!豆知識っていうのは豆だけの知識の事じゃなくて、

     豆のように小さい知識の事を【豆知識】って言うんだよ!

     豆のこと限定じゃないよ!』

 

中島さん『それはおかしいよ!

     何であのCMのキャラクターは【豆そのもの】なのに

     豆の事を教えてくれないの?

     あのキャラは豆の妖精さんなんじゃないの?』

 

寺野くん『そ、そんなこと言われても…でも豆だけの知識って何なの…?』

 

中島さん『私、豆の事で以前から疑問に思う事たくさんあったの!

     例えば、なんで【納豆】って豆を納める、って書くの?』

 

寺野くん『あーなんでだろう?』

 

中島さん『私はその納豆がなんで豆を納めるって書くのか意味がわからないのに、

     その上に【甘い】という漢字を付けた【甘納豆】って一体何なの?

     さらに意味がわからないよ!甘納豆は納豆なのにネバネバしてないし!』

 

寺野くん『うーん、ゴメン、納豆の言葉の由来は知らないよ…』

 

中島さん『他にもあるよ!【豆乳】ってなんで豆の乳って書くの?

     豆のおっぱいだからなの?豆からおっぱいが出るの?

     牛のおっぱいみたいに豆からもおっぱいが出るの?

     豆から出たおっぱいって栄養素は高いの?豆のおっぱいが…!』

 

寺野くん『ス、ストップ!中島さん!おっぱい言いすぎ!』

 

中島さん『【空豆】もわからないんだよ!

     空豆って見た目は少し大きい緑色の普通の豆なのに、

     なんで【空の豆】って書くの?空と何か関係あるの?

     Dr.スランプ・アラレちゃんに出てくる

     空豆ピースケとも関係があるの?』

 

寺野くん『そ、空豆ピースケ?』

 

中島さん『大豆と小豆だってなんで大きい豆で【だいず】で

     小さい豆で【あずき】なの?色も形も言い方も全然違うじゃん!

     アニメのあずきちゃんだと

     あずきちゃんの方がお姉ちゃんで大きいのに!

     なんであずきは【小豆】って書くの?』

 

寺野くん『あずきちゃんっていうアニメがわかんないよ…』

 

中島さん『私ね、豆のお菓子が大好きだからコンビニで豆のお菓子を買うんだけど、

     なぜか豆のお菓子なのに【豆】っていう

     名前が入ってるお菓子が全然無いの!

     でん六とかポリッピーとか味ごのみとか、豆の漢字が入ってないの!』

 

寺野くん『そ、そういえばそうだけど…』

 

中島さん『なのに豆の漢字が入ったものの名前になると

     急に意味がわからなくなるのは何でなの?

     枝豆だって枝が付いてないし、豆板醤だって【豆の板の醤】って何?

     豆腐だって豆が腐ったら、あの豆腐の白い四角い形になるの?

     高野豆腐は【高野さんの豆は腐っている】っていう意味なの?』

 

寺野くん『(な、中島さんが止まらない…)』

 

中島さん『ジャックと豆の木の豆の木は何であんなに大きく伸びるの?』

 

寺野くん『あれは作り話だよ!』

 

中島さん『もう!なんでそういう豆についての知識を

     あの豆のCMは教えてくれないの?

     それを教えてくれるのがあのCMの豆の妖精の仕事なんじゃないの?

     私、納得いかないよ!あのCMの会社に電話して聞いてくる!』

 

寺野くん『え?な、中島さん?どこに行くの?』

 

 


 

 

 

 

中島さんは教室を飛び出して出て行ってしまいました…

寺野くんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして呆然としていました。

 

その後、すぐに戻ってきた中島さんは

何事もなかったかのように授業を受けていましたとさ…

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