第8話 ラムネ


中島さん『寺野くん!寺野くん!私、騙されてたの!』

 

寺野くん『だ、騙されてた?何があったの?』

 

 

 

 

 

僕の名前は寺野かずお、どこにでもいる男子高校生です。

今日も隣の席の中島さんが何やら騒ぎ始めました…

 

 

 

 

 

中島さん『私はずっと騙されてたの!悔しいよ!』

 

寺野くん『どうしたの?誰に騙されてたの?』

 

中島さん『別に誰にも騙されてはいないけど…』

 

寺野くん『へ?どういうことなの?』

 

中島さん『……ラムネ!』

 

寺野くん『な、何?ラムネ?』

 

中島さん『私はラムネに騙されてたんだよ!』

 

寺野くん『ラムネってお菓子のラムネ?』

 

中島さん『そっちじゃなくって!瓶に入ったシュワシュワのラムネだよ!』

 

寺野くん『あーそっちか、炭酸飲料のラムネの事だね』

 

中島さん『そう!』

 

寺野くん『で、でもまだ意味がわかんないよ、なんでラムネが中島さんを騙すの?』

 

中島さん『……ラムネってサイダーと同じなんだって』

 

寺野くん『え?』

 

中島さん『ラムネの中身の飲み物はサイダーと全く同じ飲み物なんだって!』

 

寺野くん『あーそれ知ってるよ、テレビで聞いたことあったような気がする』

 

中島さん『え?寺野くん、ラムネとサイダーが同じだって知ってたの?

     何で?何で教えてくれなかったの?

     寺野くんも私の事をずっと騙してたの?』

 

寺野くん『お、落ち着いてよ!ラムネの話なんて今はじめて話したんだから!

     ラムネの中身とサイダーが同じだなんて

     教えるタイミングなんか無かったよ!』

 

中島さん『う~ん、でも納得いかないの!私、ラムネ大好きで、

     お祭りとかでラムネがあったら必ず買って飲んでたの!』

 

寺野くん『う、うん、僕もラムネ好きだけど…』

 

中島さん『私、ラムネもサイダーもどっちも飲んだことあるけど、

     お祭りの時に飲むあのラムネの方が美味しいって、ずっと思ってたの!

     あのラムネの瓶の中でビー玉がカラン!て引っかかるのが大好きなの!』

 

寺野くん『う、うん、わかるよ、

     あのラムネの瓶と、中に入ってるビー玉が良いんだよね、

     あのビー玉が何かお祭りの雰囲気に合ってて美味しく感じるというか…』

 

中島さん『そうなの!ラムネの中身がサイダーと同じなら、

     違いはビー玉だけなんでしょ?

     ビー玉が入ってるか入ってないかでラムネとサイダーに

     名前が変わっちゃうってことなんでしょ?それに騙されてたんだよ!』

 

寺野くん『そういうことか~確かにショックかも…でもそこまで怒らなくても…』

 

中島さん『……絶対、サイダーよりラムネの方が美味しい‼』

 

寺野くん『え~、でも中身は同じだって…』

 

中島さん『絶対にラムネの方がシュワシュワだもん!』

 

寺野くん『シュワシュワだもんって言われてもよくわかんないよ!』

 

中島さん『……行こう、寺野くん』

 

寺野くん『ど、どちらにですか?』

 

中島さん『川沿いにある駄菓子屋さんに行こう!

     あそこにならラムネもサイダーも売ってるから!

     飲み比べをするんだよ!早く行こう!』

 

寺野くん『ちょ、ちょっと待って!中島さん!』

 


 

 

 

 

困ったことに中島さんは気になることがあると止まらない性格なのです…

中島さんと寺野くんは、まだ授業が終わってないにもかかわらず、

学校を抜け出して川沿いの駄菓子屋さんに行ってしまいました…

 

学校から10分ほど歩いて、駄菓子屋さんに着いた2人は

同じメーカーのラムネとサイダーを2本ずつ買いました…

そして駄菓子屋さんの前でラムネとサイダーの飲み比べを始めました…

 


 

 

 

 

中島さん『よし!ラムネとサイダーの飲み比べを始めます!』

 

寺野くん『あーもう、なんでこんなことしてるんだか…』

 

中島さん『寺野くんも、ちゃんと味わって飲んでね!

     ラムネとサイダーどっちが美味しいかの実験なんだから!』

 

寺野くん『…はい、もう最後まで付き合いますよ…』

 

 

 

 

 

 

中島さんと寺野くんはラムネとサイダーを交互に飲み比べてみました…

 

 

 

 

 

 

中島さん『…どう?どっちが美味しい?』

 

寺野くん『…よくわかんない、同じような気もするし違うような気もする…』

 

中島さん『…私もよくわかんない』

 

寺野くん『やっぱり中身は同じ飲み物なんじゃないかなぁ?』

 

中島さん『ひとつ言えるのは、

     ラムネの方はビー玉が邪魔で飲むのにイライラする!』

 

寺野くん『(さっきと言ってることが違う…)』

 

中島さん『う~ん、ちょっと待って、

     ラムネはビー玉が邪魔で飲みにくいからコップに出してみよう!

     駄菓子屋のおばちゃんにコップ借りてくる!』


 

 

 

 

 

中島さんは駄菓子屋のおばちゃんにコップを借りてきて、

ラムネとサイダーの中身をそれぞれコップに出しました。


 

 

 

 

 

中島さん『よし、これで飲みやすくなった!』

 

寺野くん『…何やっても味は変わらないと思うけど…』

 

中島さん『……ゴクゴク、ふぅ~、やっぱり味はラムネのまんまだね』

 

寺野くん『うん、やっぱりラムネとサイダーは同じなんだよ』

 

中島さん『…ビー玉が足りないのかな?』

 

寺野くん『ビー玉?たしかにラムネの中身をコップに移したから

     ビー玉は関係なくなっちゃったけど…』

 

中島さん『ビー玉で味が変わるかも!おばちゃん!ビー玉ちょうだい!』

 

寺野くん『な、なに?ビー玉を買ってどうするの?』

 

 


 

 

 

中島さんはまた駄菓子屋の中に入っていき、店に売ってるビー玉を大量に買った。

そしてさっきのラムネが入ってるコップにビー玉を大量に入れて飲み始めた!

 

 


 

 

 

中島さん『ゴクゴク、コップにビー玉がいっぱい入ってるから飲みにくい…』

 

寺野くん『そりゃそうだよ!ビー玉で味は変わらないよ!』

 

中島さん『…ゲップ!』

 

寺野くん『あ!な、中島さん、炭酸飲みすぎちゃったね…』

 

中島さん『……寺野くんにゲップ聞かれちゃった…』

 

寺野くん『べ、別にそんなの気にしなぃ……ゲエエェェプゥ‼』

 

中島さん『あ!寺野くんもゲップした!』

 

寺野くん『そ、そりゃあんなに炭酸飲んだらゲップも出るってば!』

 

 

 


 

 

 

 

中島さんと寺野くんはゲップをしながら仲良く学校をサボってましたとさ。

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