第6話 身体測定


僕の名前は寺野かずお、普通の高校生男子です。

今日は身体測定がありました…


 

 

 

中島さん『寺野くん、身体測定どうだった?』

 

寺野くん『え?うん、身長は2センチ伸びてたかな』

 

中島さん『そうなんだーいいなー』

 

寺野くん『中島さんは去年と変わりなかったの?』

 

中島さん『………女子にそういうことを聞くの?』

 

寺野くん『あ!ゴ、ゴメン、そうだよね…』

 

中島さん『……私の身長は去年と同じだったよ…』

 

寺野くん『そ、そうなんだ。来年は身長伸びるといいね!』

 

中島さん『………』

 

寺野くん『あ、え、えーっと…』

 

中島さん『………』

 

寺野くん『(やばいな~、機嫌を悪くさせちゃったなぁ…)』

 

中島さん『……寺野くん、もう一回、身体測定しよう』

 

寺野くん『え?さっき測ったのに?何も変わらないと思うけど…』

 

中島さん『いいから行くの!理科準備室に体重計も身長測るやつもあるから!』

 

寺野くん『あ!ちょっと!中島さん!』



 

 

 

中島さんは僕の手を引いて理科準備室へ向かい小走りで移動し始めた。

どうやら中島さんは体重の事を気にしている?みたいだった…

 

そして2人で理科準備室に入って扉を閉めて、その途端に中島さんがこう言った。



 


 

中島さん『…寺野くんはカッコいいよ』

 

寺野くん『はぇ?な、なんで急にそんなこと言うの?』

 

中島さん『…前からずっと思ってたんだ、寺野くんはカッコいいって、

     それに本当に優しいし、言葉遣いも良いし、悪口も言わないし、

     本当に凄いよ。』

 

寺野くん『な、何?何で急にそんなに褒めてくるの?』

 

中島さん『寺野くん以外の男子って、言葉遣いが汚かったり、

     下品だったりするでしょ?でも寺野くんはそんなことないし、

     私の話にいつも最後まで付き合ってくれるし…

     寺野くんと話していると凄く楽しいよ。』

 

寺野くん『そ、そうなんだ?僕も中島さんと話してると、

     疲れるけど楽しいし…何だか中島さんにそう言われると嬉しいよ!』

 

中島さん『寺野くん…』




 

 

 

中島さんがゆっくりと手を寺野くんの顔に近づけていきます… 

もちろん理科準備室には寺野くんと中島さん以外、誰もいません…

二人だけの空間です…



 

 

 

 

中島さん『寺野くん…』

 

寺野くん『な、中島さん…』

 


 

 

 

中島さん『……よし、寺野くん、身長測ろう!』

 

寺野くん『…へ?な、何だったの今の?』

 

中島さん『いや、もうOKかな~と思って、とにかく身長測ろうよ!』

 

寺野くん『もうOK?う、うん。わ、わかったよ…』

 


 

 

 

 

寺野くんは少しがっかりしつつ、身長計に乗って中島さんに身長を測ってもらった。

 



 

 

 

中島さん『ちょうど170センチだよ』

 

寺野くん『ああ、そう、今日の身体測定で測ったのと変わってないや』

 

中島さん『おかしいな~あれだけ寺野くんを褒めたのに』

 

寺野くん『え?何?どういうこと?』

 

中島さん『だって【褒められて伸びる】って言うじゃん』

 

寺野くん『…………え?』

 

中島さん『褒められて伸びるは嘘だったんだね』

 

寺野くん『…中島さん、それで僕の事をあんなに褒めてたの?』

 

中島さん『うん!寺野くんがもっと大きくなればいいな~って思って!』

 

寺野くん『は、はは…』



 

 

 

 

寺野くんはがっかりを通り越して、疲れてその場に座り込んでしまった…



 

 

 

 

中島さん『寺野くん?どうしたの?具合悪いの?』

 

寺野くん『はぁ、もういいよ…中島さんが急いで

     理科準備室に行こうって言ってたから…

     てっきり中島さんが怒ってるって思ってたし…』

 

中島さん『なんで?私、怒ってないよ?

     早く寺野くんを大きくしてあげたかったんだよ!

     褒めて身長を伸ばしてあげたかったんだ!』

 

寺野くん『中島さん…【褒めて伸ばす】っていうのは

     身長を伸ばすっていう意味じゃなくて、

     褒めてその人の能力を高めようとする教育方法のことだよ…』

 

中島さん『え?違うの?何だーそうなのかー』

 

寺野くん『ま、まぁ褒められてた時は気分は良かったかな…』

 

中島さん『でもさっき、寺野くんを褒めてた事は本当だよ!寺野くん優しいし、

     私の話を最後まで聞いてくれるし、悪口言わないし!』

 

寺野くん『(…カッコいいが無くなってる)』

 


 

中島さん『………う~ん…』

 

寺野くん『ふぅ、疲れたよ、もう教室に帰ろうよ』

 

中島さん『………寺野くん、』

 

寺野くん『どうしたの?教室に戻ろうよ』

 

中島さん『…寺野くんはダメダメ人間だよ!』

 

寺野くん『え?こ、今度は何なの?』

 

中島さん『寺野くんは本当にダメダメだよ!

     言葉遣いも女の子みたいでナヨナヨしてるし!

     私が何か強く言うとすぐに謝るし!男らしくなくてヨワヨワだよ!』

 

寺野くん『な、何で急にそんなこと言うの?』

 

中島さん『……よしOK、寺野くんもう一回、身長測ろう!』

 

寺野くん『何なんだよ…もう…』




 

 

 

寺野くんは訳がわからないまま、もう一度、身長計に乗りました…




 

 

 

中島さん『…う~ん、やっぱりちょうど170センチだな~』

 

寺野くん『そりゃそうだよ!何回測っても同じだって!』

 

中島さん『さっきは褒めても身長伸びなかったでしょ?

     だから今度は逆に怒ってみたら

     寺野くんの身長が伸びるか縮むかするかと思ったんだけど…』

 

寺野くん『だ、だーかーらー!意味が違うんだよー!』



 

 

 

 

 

今日の寺野くんはいつもの2倍、疲れたみたいでした…

寺野くんと中島さんの関係はこれから進展するのでしょうか…?

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