第4話 茶


中島さん『お茶って茶色くないよね』

 

寺野くん『……』



 

 

 

僕の名前は寺野かずお、いたって普通の高校生男子です。

今日の中島さんは【お茶の色】に疑問があるみたいです・・・



 

 

 

中島さん『なんでお茶は茶色じゃないんだろう?』

 

寺野くん『…お茶っていう名前だから茶色じゃなきゃおかしい?ってこと?』

 

中島さん『だってさ、ほらこれ!【おーいお茶】は何色?』

 

寺野くん『み、緑色だね。でも【緑茶】とも言うでしょ?』

 

中島さん『緑茶って【緑と茶】って書くよね?緑色なの茶色なの?』

 

寺野くん『い、色は緑色だよ、たしかに緑も茶も色の名前になっちゃうけど…』

 

中島さん『だったら【おーい緑茶】にしてほしいんだけどなー、

     だって、おーいお茶のパッケージは緑だし、

     中身のお茶の色自体も黄色っぽくて、どっちも茶色ではないんだよね』

 

寺野くん『言われてみるとそうだなぁ、

     【お茶】って言われると緑色を想像するのに

     【茶色】って言われたとたんに茶色の色を想像するよね』

 

中島さん『他にもあるよ!紅茶も【紅と茶】でどっちも色の名前なのに

     紅の色の方が優先されてるし、抹茶の色も緑色だよ!

     どこにも茶色がないんだよ!』

 

寺野くん『【茶】っていう漢字を飲み物として考えたら【お茶の種類】で、

     色として考えたら【茶色】だよね。

     何気なく使い分けてるけど考えてみたらおかしいかもね』

 

中島さん『茶って付いてるんだから、茶色くしてほしいなぁ…』

 

寺野くん『でも【ほうじ茶】は茶葉の色も、いれたあとの色も茶色かなぁ、

     麦茶とかウーロン茶とかも茶色と言えば茶色だけどね…』

 

中島さん『それ以外のお茶も全部!茶色くしてほしい!』

 

寺野くん『う、う~ん、そんなこと言われても…』

 

中島さん『【茶】って漢字が入ってるものは全部、茶色にするべきだよ!

     茶色をもっと普及させないと、茶色がかわいそうだよ!』

 

寺野くん『何で茶色っていう色に対してかわいそうっていう感情が生まれるの…?』

 

中島さん『お茶碗だって茶っていう漢字が入ってるのに

     茶色くない器ばっかりだよ!   

     全部茶色に塗り替えるべきなんだよ!』 

 

寺野くん『えぇ…世の中の茶碗が全部茶色になるの…?』

 

中島さん『お茶菓子も和菓子とかはカラフルな色ばっかりでしょ?

     【お茶菓子】なんだから!茶っていう漢字が入ってるんだから

     茶色にするべきなんだよ!』

 

寺野くん『また無茶苦茶な事を…』

 

中島さん『【お茶漬け】も茶っていう漢字が入ってるから茶色にしよう!』

 

寺野くん『それは単純にマズそうだよ…』

 

中島さん『そんなことないよ!茶色い食べ物は美味しそうなもの多いよ!

     チョコレートとかキャラメルとか、ハンバーグとかカレーとか!

     慣れれば大丈夫だよ!』

 

寺野くん『それは全然ちがう食べ物だし…』

 

中島さん『食べ物だけじゃないよ!

     茶っていう漢字が入ってる場所も、私が全部茶色にして、

     茶色をもっとメジャーな色にしてあげたいんだよね!』

 

寺野くん『(…もうほっとこうかな…)』

 

中島さん『そうだ!全国にある喫茶店とか茶店とかも

     全部茶色のペンキで塗っちゃおうよ!

     御茶ノ水とか三軒茶屋も茶色に塗り替えよう!

     加藤茶とか、ギタリストのチャーも茶色に塗り替えて!

     勝俣州和も元CHACHAだから茶色にして…』

 

寺野くん『何なのそれ!後半の人達は漢字じゃ無くなってるし!

     無理やりすぎるよ!』

 

中島さん『ちぇっ、面白いかと思ったんだけどなー』

 

寺野くん『…しかし何で色を茶色に塗り替える話になっちゃうんだろう…』

 

中島さん『ふぅ、もういいや、のど乾いたから、おーいお茶飲もう』

 

寺野くん『僕も疲れたよ…(今日の話はもう終わりかな…?)』


中島さん『あ、寺野くんも一口飲む?』

 

寺野くん『…え?(か、間接キスになっちゃうけど…)』

 

中島さん『どうしたの?いらないの?』

 

寺野くん『……え、えーっと…』

 

中島さん『飲まないならいいや、全部飲んじゃうよ~』

 

寺野くん『あ!うん、……はぁ、』

 



 

 

 

 

今日の中島さんはとってもお茶目でしたとさ。

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