第3話 釣り


僕の名前は寺野かずお、どこにでもいる高校生男子です。

先ほど、古典の授業が終わり、今は休み時間なのですが…

 

 

 

中島さん『ねぇ、寺野くん』

 

寺野くん『どうしたの?中島さん』

 

中島さん『さっきの古典の授業で【秋の日はつるべ落とし】って習ったでしょ?』

 

寺野くん『うん、秋の日は陽が落ちるのが早い、っていう意味なんだよね』

 

中島さん『…私は落語家の【笑福亭鶴瓶】が

     落ちていく映像が頭に浮かんだんだけど…』

 

寺野くん『そ、それ結構、考える人多いと思うよ、

     たしか笑福亭鶴瓶さん本人も落語でネタにしてたと思うし…』

 

中島さん『そうなんだ、秋になったら笑福亭鶴瓶を落としに行こうね!』

 

寺野くん『な、何を言ってるの?なんか中島さんが言うと

     本当に笑福亭鶴瓶さんをどこかに落としそうで怖いよ!』

 

中島さん『ふっふっふ!私は妖怪つるべ落としになって

     笑福亭鶴瓶を奈落の底に落としてやるんだ!』

 

寺野くん『変な冗談言わないでよ…

     そもそも、つるべ落としの【つるべ】は

     漢字で【釣瓶】って書くから笑福亭鶴瓶のつるべとは関係ないから!』

 

中島さん『【釣瓶】って何?』

 

寺野くん『え~っと、さっき古典の教科書に書いてあったような……

     あぁ、釣瓶っていうのは井戸の水をくみ上げる装置のことみたいだね』

 

中島さん『ふ~ん、【釣瓶】をひらがな読みすると【つりびん】だよね?

     瓶を釣り上げるっていう事?』

 

寺野くん『う~ん、言葉の由来はわからないけど…』

 

中島さん『【瓶を釣り上げる】ってなんかロマンチックだね!

     ほら、外国の誰かが瓶に手紙を入れて、

     それを海に流して、何十年も後に別の国の誰かがその瓶を釣り上げる、

     みたいな話!』

 

寺野くん『話が急に変わったなぁ…さっきまで笑福亭鶴瓶の話だったのに…』

 

中島さん『私、そういうロマンチックな話、憧れてるの!

     決めたよ!私、釣りガールになる!

     手紙が入った瓶を釣り上げてみせるよ!』

 

寺野くん『釣りガールなのに魚は釣らないの?

     ていうか、そういう瓶に入った手紙って

     【ボトルメール】っていうやつでしょ?

     そういうボトルメールって海岸に流れ着いたりする物で、

     釣り上げたりするのは難しいんじゃないかなぁ?』

 

中島さん『えーそうなの?そうかー、だったら釣りガールは引退するよ……』

 

寺野くん『い、引退って…

     そもそも釣りガールって魚を釣る女子の事のはずなんだけど…』

 

中島さん『釣りガール?』

 

寺野くん『え?釣りガールの話でしょ?』

 

中島さん『釣りがある?』

 

寺野くん『???』

 

中島さん『お釣りがある……釣りがある、釣りガール……釣りガール!』

 

寺野くん『…え~っと、中島さん?何を言って…』

 

中島さん『寺野くん!釣りガールって

     【お釣りを持ってるガール】っていう事なんじゃない?』

 

寺野くん『(また何か言い始めた…)』

 

中島さん『つまりコンビニとかの女の店員さんは【釣りガール】なんだよ!

     だってお釣りを渡してくれるじゃん!』

 

寺野くん『な、何を言ってるの?魚を釣る【釣り】と、

     お金の【お釣り】は意味が全然違うよ!』

 

中島さん『それじゃあ何でどっちも【釣り】っていうの?

     何か関連性があるんだよ!』

 

寺野くん『そ、それは何か言葉の由来があるんだよ!

     それにコンビニでお釣りを渡してくれる店員さんは

     女の人だけじゃないでしょ?男の人もいるよ!』

 

中島さん『それは【釣りボーイ】とか【釣りメンズ】とかになるんじゃない?』

 

寺野くん『ならないよ!それじゃあタクシーの運転手のおじさんは…』

 

中島さん『釣りおじさん!』

 

寺野くん『それだと釣りおじさんは【お釣りをくれるおじさん】っていう

     意味になっちゃうよ!』

 

中島さん『それから【一本釣り】っていうのは

     100万円をお釣りで返すっていう意味なのかなぁ?

     お父さんが100万円の事【一本】って言ってたし…』

 

寺野くん『ど、どういう家庭環境なの?間違いなく意味が違うよ!』

 

中島さん『う~ん、じゃあ何でお釣りは【釣り】って言うんだろう?

     えへへ、まぁいいや!寺野くんと話してると楽しいよ!

     私の話にちゃんと全部答えてくれるもん!』

 

寺野くん『そ、そうですか…(僕は中島さんの話に釣られてるんだろうか…?)』

 

中島さん『釣りで思い出したけど、私は【釣鐘】なんだって!』

 

寺野くん『つ、釣鐘?お寺にある、あの釣鐘?誰にそんなこと言われたの?』

 

中島さん『お母さんに言われたよ』

 

寺野くん『ど、どういうこと?中島さんがお寺の釣鐘に似てるみたいな話?』

 

中島さん『そうじゃなくて、お母さんと一緒にお風呂に入ってたら、

     お母さんが私のおっぱいを見て【あなたは釣鐘型ね】って言ってたの!』

 

寺野くん『え!ちょ、ちょっと!』

 

中島さん『ねぇ寺野くん、おっぱいが釣鐘ってどういうことなの?

     おっぱいが釣鐘みたいな形っていう事だったら、

     おっぱいが釣鐘みたいに上を向いてないとおかしいよね?

     だって、おっぱいは正面に付いてるから、おっぱいが釣鐘ってことは…』

 

寺野くん『やめて!やめて!おっぱいって何回も言わないで!』

 

中島さん『えーでも気になるんだよ、ほら!見てみて!私のおっぱい!』

 

寺野くん『え?え?ちょっと!何をしてるの!』




 

 

 

中島さんがいきなり服をめくり上げておっぱいを僕に見せてこようとしたので

僕は中島さんが服をめくり上げるのを止めようとした!

そしたら僕は中島さんの胸に飛び込むように顔をうずめてしまった!



 


 

 

中島さん『きゃ!』

 

寺野くん『むぎゅうぅ…!』

 

中島さん『寺野くん!大丈夫?』

 

寺野くん『ぷはっ!だ、大丈夫だよ!大丈夫だけど、ご、ゴメン!』

 

中島さん『え?何が?何で謝るの?私も大丈夫だけど…』

 

寺野くん『そ、そう、それならよかったです…(2つの意味で…)』


 


 

 

 

 

中島さんは自分の胸を見せるとか、胸を触られてしまった事を

全く気にしてないみたいだった…

中島さんは女の子としての恥ずかしさみたいなのを感じてないのかな?

 

ともかく、寺野くんにとって今日は忘れられない日になりましたとさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る