第2話3限その2

 これは僕の妄想だ。欲望だ。行動できない自分への当てつけだ。だから僕はこうして日記を残す。自分の弱さを確かめるために。人数に対して無駄に広い講義室。なのに今は熱気がこもって少し暑い。12月12日。クリスマスまで後2週間。それだというのに僕は彼女に想いを告げられないでいる。僕の3列前には彼女が座っている。僕は知っている。彼女は授業を聴いていない事を。僕が彼女を見つめるように、彼女もまたある男を見つめている。僕は彼を知っている。彼も僕のことを知っている。僕らが出会ったのは、大学に入学した日。僕が彼女を見つけたのもその日。

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