第12話
「倒したは良いけど素材どうしよう?」
グランミノタウロスの死体は大きすぎて全部は持って帰れない。
「全部は持って帰れないよなぁ」
「アル、私達2人でなら持って帰れるかもしれないよ」
「え?」
「私達アイテムボックスって言うスキルを持ってるの」
「アイテムボックス?」
「収納魔法の1つだよ」
「とりあえずやってみるよ」
セリィとナージャはそれぞれ真っ二つになったグランミノタウロスの死体の前に立つ。
「行くよー」
「「アイテムボックス!」」
セリィとナージャの上に魔法陣が現れる。
セリィとナージャは死体に触れる。
すると死体が魔法陣の中に消える。
「やった、入ったよ!」
「え?」
「アイテムボックスってそんな入らないはずなんだけど……」
フロウが言うには通常アイテムボックスは100kg~500kgぐらいしか入らないらしい。
あれ多分何トンかあるよなぁ……
「さ、到達証明の魔石採掘して帰ろう」
「お、おう」
俺達は魔石を採掘し、部屋を出て上へと登る。
帰りは疲れていたので魔物を倒すのに少し手こずったが、何とか地上に戻ることが出来た。
――迷宮の入り口――
「ふぅ、帰ってこれたぁ」
「ああ、お前達か。何か凄い大きな音がしたが何かあったのか?」
「ああ、最下層まで行ったんですけどイレギュラーでボスモンスターが復活してしまって」
「最下層!? ボスモンスター!?」
「ほんとですよ。ほらこれ最下層到達証明の魔石です」
話していると、一台の馬車がやってきた。
「お前達がアイギスかね?」
「はい、そうですけど……」
「最下層でボスモンスターを倒したのは君達だね?」
「え? そうですけど何故知っているんですか?」
「私のスキル、観察眼の効果で迷宮の様子を確認していたら君達がボスモンスターと戦っているのを見つけてね」
「そうでしたか」
「そこで、君達のランクを一気に上げると共に素材を買い取ろうと思ってね。
その代わりにあるお願いを聞いて欲しいんだ」
「お願い……ですか?」
「まぁとりあえずギルドで話そう。さ、馬車に乗ってくれ」
「わかりました」
俺達は馬車に乗ってギルドに向かった。
――ギルド・会議室――
「まぁとりあえずボスモンスターのことについて教えてくれないか?」
「えっと、Sランクモンスターのグランミノタウロスでした。
最下層到達証明の魔石の採掘をしていると魔石が急に光出してグランミノタウロスが出てきました」
「うん、やっぱりボスモンスターで会ってるな。この街の迷宮のボスモンスターはグランミノタウロスなんだ」
「かなり苦戦しました」
「普段は討伐隊を組んで何十人かで倒すんだがそれをたった4人で倒すとはな……」
「で、要件は何でしょうか?」
「ああ、まず素材の買取りだ。グランミノタウロス丸々1匹いるのか?」
「まぁ真っ二つにしましたけど」
「真っ二つか……まぁとりあえず買い取り価格何だが王金貨100枚でどうだ?」
「王金貨100枚!?」
王金貨だと?
王金貨って日本円にすると10万円だぞ?
それが100枚って1000万円じゃねぇか!?
「それくらい貴重な素材なんだよ」
「そうですか。使う素材も無いので全て買い取って下さい」
「分かった。で、次の話はランクアップについてだが」
「ランクアップ出来るんですね!」
「ああ、Sランクモンスターをたった4人で倒したんだから当然だ」
「1つですか?」
「いや、2つだ。A級にまで上げよう」
「2つも上がれるんですか!?」
「特例だ」
「良いんですか?」
「誰も文句は言わない」
「ありがとうございます」
「で、最後のお願いだがこれは国王からのお願いでな」
「国王陛下ですか?」
国王陛下ってあのオークの群れ倒した後に会ったあの人か。
「ああ。ヒューマニア大陸の全迷宮の最下層到達をして欲しい、との事だ」
「全迷宮の最下層到達ですか……それはいくつぐらいですか?」
「知らないのか? 最下層到達しているのはこの街の迷宮だけだぞ?」
「そうなんですか」
「それで、受けてくれるか?」
「はい、頑張ります」
「そうかそうか。ありがとう!」
俺は会議室を出て、ギルドから王金貨100枚を受け取る。
「私達、お金持ちだね!」
「何買おっかなー!」
「俺は新しい武器が欲しいな」
「じぁ今日は買い物するか!」
「「「おー!」」」
俺達は男子チームと女子チームに分かれてそれぞれ目的のものを買うことにした。
「アル、武器屋行こうぜ!」
「ああ、もちろん!」
鎧は王様から貰った良いものだけど剣と盾は普通のやつだから良いのが欲しいと思ってた所なんだよ。
俺達は街の武器屋に向かった。
この街の武器屋はかなり大きかった。
「沢山あるなぁ」
「何かお探しですか?」
「あ、剣と盾を探していて」
「でしたらこの準魔剣はいかがでしょうか?」
そう言って店員が取り出したのは白い剣だった。
「準魔剣?」
「はい、こちらは魔剣と同じ能力が使えるように作られた物です」
「ちなみにこの剣の能力は?」
「衝撃派を生み出す能力です」
「あ、それ良いな。いくらですか?」
「王金貨1枚です」
10万円か。そこそこするな。
「とりあえず保留で、あと盾も探していて」
「盾だと……これはいかがでしょうか?」
次に店員が出してきたのは白色の盾だった。
「これは?」
「これは魔装といったものです」
「魔装?」
「先程の準魔剣とほぼ同じです。特定の条件を満たすと能力が発動するんです」
「これはどういった条件で、どういった能力なんですか?」
「この盾の能力は凄く特殊で、魔石を捕食して自分の能力を上げることが出来るのです」
「魔石を捕食か……こっちの値段は?」
「能力の特殊さから少し高いんですが、王金貨2枚です」
「合わせて王金貨3枚か……」
「フロウ、決まったか?」
「ああ! 俺はこの斧にする!」
「いくらだ?」
「王金貨1枚と大金貨5枚」
「全部で王金貨4枚と大金貨5枚か。店員さん、まとめて買う代わりにすこしまけてもらえませんか?」
「んー、でしたら……大金貨1枚引きます」
「「もう一声!」」
「えぇ、では2枚」
「「もう一声!」」
「さ、3枚……」
「「もう一声!」」
「さすがにこれ以上は……」
「「もう一声!!」」
しばらく粘ると端数を切って王金貨4枚で売ってもらえることになった。
やっぱり値切るのは基本だね。
その後、魔力を回復するためのポーションや、ランプ等の必要な物をあらかた買って夕方、女子チームと合流した。
「何買ったの?」
「えっとね、私達は杖と服とアクセと、それからそれから……」
「めっちゃ買うじゃん」
「お金があったからつい」
「そっちは?」
「武器と迷宮で必要な物かな」
「いいもの見つかった?」
「うん、とっても良いのが」
「私達もだよ。この杖凄いの!」
セリィが興奮しながら杖の能力について語ってくれる。
そんなに嬉しかったのか。
「じぁ今日はもう休んで明日に次の迷宮がある街に移動しようか」
「うん!」
「じぁおやすみー」
「おやすみー」
「また明日」
「はぁ、何か凄く疲れたぁ」
「ほんとに色々あったからな」
「まさか初日からA級冒険者になるとはね」
「Sランクモンスターとも戦ったし」
「「大変だったなぁ」」
「じぁ、おやすみ」
「ああ、また明日」
俺達は疲れていたのですぐに寝ることが出来た。
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