184-4.栗の下ごしらえ






 *・*・*









 お夕飯が終わった後に、明日のおやつ用のパンに必要な材料の仕込みをしようと意気込む。



「……これを全部かな?」


「はい、シェトラスさん! 内側の皮は取らなくて大丈夫です!!」



 何を仕込むのかと言うと……先日カイルキア様とお出かけの時に拾った大量の生栗!


 これを、ぜーんぶ全部、マロングラッセとマロンペーストにしようと思っているのだ!!



「結構な量だね?」



 今日はデートだったエイマーさんも手伝ってくれるようなので、今はいつものコックスーツだ。



「ロティの炊飯器を使うので、普通の仕込みよりも簡単です」


『でふぅ!』


『そーなんでやんすか?』



 レイ君も戻ってきたので、こっちもコックスーツだった。



「内側の皮……渋皮を剥かないですが、外側の皮も固いですし、気を付けて剥きましょう!!」


「「『『おお!!』』」」



 マロンペーストにするのにも、渋皮煮があれば大丈夫なので……とにかく、包丁以外の道具を使いながらもどんどん皮を剥いていく。


 まだ、レシピを技能スキルなどに登録していないので、合成ジンテーゼなどは使えないとロティ先生のお言葉だ。



「『『「「……………………」」』』」



 外側の皮剥きはとにかく大変なので、自然と無言になっちゃいます。


 ペキ、パキっと、煮込み料理のグツグツ以外の音がそれで占められていく。


 人数もそこそこ多かったのでなんとか一時間くらいで出来上がった。


 ここからどうしていくかと言うと?



「ロティ?」


『あいでふ!! ん〜〜ぅ、変換チェンジぃ!! 『炊飯器ライスクッカー』!!!!』



 くるくる回ったロティは、調理台の上で炊飯器に変身!


 この見た目を裏切る大容量のお釜に栗を入れて。



「ここに被るほどの水。あと、アク抜き用に計っておいた重曹を入れていきます」


『ここで使うでやんすねぃ?』


「渋皮もあるから物凄くアク抜きしなくちゃいけないの」



 これを炊飯器の通常モードで炊くが、ここはタイマーの時間短縮クイックで短く済ませ……煮汁が薄くなるまで、だいたい二回繰り返していく。


 その次に。



「これはなんだい??」



 エイマーさんが気になったのは、お茶パックだ。普通の紙とも違うし、お茶を詰める要素がある袋をしげしげと眺めていた。



「これは、お茶パックと言います。中に茶葉を入れてお湯などに浸すと簡単にお茶が淹れれるんです」


「使う意味が違うのでは?」


「しかし、チャロナちゃんがわざわざ出したと言うことは」


「このお茶パックにひと粒ずつ栗を入れて……また炊飯器に入れます」


『気が遠くなりそうでやんすぅ』


『頑張るでふ!』



 ただし、二回以上も炊飯器で柔らかくした栗の一部は崩れてしまうので……それはお釜の底に入れていく。


 とにかく、地味な作業が多いので、全員でちまちまとお茶パックに栗を入れていきました。


 出来たら、ブランデーや赤ワインを栗にかぶるくらい入れて……さらに砂糖とこの間見つけたザラメ糖を入れてまた炊飯!


 ロティには、ここから炊飯器を使う頻度が多いので変身したままに。炊飯出来たら、またブランデーにザラメ、あとバニラビーンズを入れて炊飯!


 炊飯した後は……粗熱を取って寝かす時間を時間短縮クイック


 丸一日寝かしておく時間を短縮させたら……。



「最後にまたザラメ、砂糖か蜂蜜、それと蒸発した分のブランデーを入れてまた炊いて」



 ここはまた時間短縮クイック


 この後がまた大変だ!!



『このひと手間と言うのが大変でやんす〜〜!!』


『にゅ!』



 そのままでも美味しく食べられマロングラッセを、さらに美味しくするのに煮汁を一個一個塗る作業が大変なんです!


 これが乾燥させると、表面の砂糖衣がシャリシャリして美味しくなるからだ。さらに大人な味わいにしたいなら……ブランデーをまぶすけど今回は省略!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る