184-3.正座説教(マックス《悠花》視点)








 *・*・*(マックス《悠花ゆうか》視点)










 んもぉ、まったく!!?



(あんの、むっつり助平野郎がぁあああああ!!?)



 あたしは今、チーちゃんお手製の美味しい美味しいアップルデニッシュを堪能したけど……カイルの奴をお説教しなきゃって、奴の執務室に向かっている。


 せっかくのエイマーとのデートも街の騒ぎであんまりだったが。あたしのマブダチを腰砕けにするキスをお見舞いするだなんて、なんて事!!?



(手練手管とかない癖して、チーちゃんには思いの丈をぶつけた感じ??)



 チーちゃんが煽ったとしてもよろしくないわ!!



「ちょっと、カイル!!…………ぅ??」



 あたしがノックもせずに乱暴に開けると、中では既に……。



「チャロナちゃんを腰砕けにするだなんて、ダメでしょ!!?」



 既に、レクターがカイルに正座をさせて、お説教していたわん??



「……………………すまん」


「僕に謝ってもしょうがないでしょ!? チャロナちゃんには!!?」


「…………一応」


「と言っときながら、あの子が可愛いからなんとかって建前つけたんでしょうが!?」


「…………わかっているんなら、聞くな」


「全然反省してないでしょ!?」




 うんうん、腹黒大魔王様が盛大に叱っているんなら、あたしの出番はほとんど必要無さそうね??


 と言っても、まだ怒りはあったからレクターがため息吐いている間にカイルの頭を殴ったけーどー?



「ぐ!?」


「あたしのマブダチの代わりに成敗よん!!」


「ありがと、マックス。……とりあえず、カイルは正座したまま執務の続きをさせるよ?」


「いい考えね?」


「…………」



 で、レクターは補佐兼監視役。あたしは書類の整頓兼監視役。カイルはソファの上で正座させてから体に悪い姿勢で執務。


 これを二時間やったら、流石のカイルでも麻痺状態で白旗を上げたわん??



「「もうやらない?」」


「……………………あ、あぁ」


「じゃ、今日はこれでおしまい。チャロナちゃん明日にはまた新しいパンを作ってくれるらしいけど」


「あら? あたし聞いてないわ??」


「この前カイル達が遠出に行ってたでしょ? 栗をたくさん拾ったから、マロングラッセ使ったパンを作るんだって」


「んま!?」



 秋らしい、素晴らしいパンじゃないのぉおおおお!!


 明日のおやつがた・の・し・みぃいいい!!


 そして、カイルはあたし達の会話中正座解除されても動けなかったし、会話も参加出来なかった。



(マロングラッセだなんて……普通は仕込みに結構時間がかかるのに、チーちゃんの技能スキルがあるから出来るのね?)



 そのままでも食べたいけど、ケーキじゃなくて……パン。


 どんな感じに仕上がるのか楽しみだわ〜〜!!

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