181-3.残念称号剥奪(マックス《悠花》視点)








 *・*・*(マックス《悠花ゆうか》視点)









(う〜ふふふふ、ふふ〜ふふ〜〜!!?)




 エイマーとデート!!


 好きな相手とのデートよぉおおん!!


 嬉しくないわけがないわぁん!!


 申し込みにOKをもらえたんだから、あたしは嬉しくて嬉しくて…………マラソンハッスル並みに、裏山を駆け上がってしまったわ……。当然、ユニーク称号の効果が出たから、腹減り状態になったけどぉん。



「今日は……というか、最近の対策!!」



 魔法鞄マジックバックにチーちゃんやエイマーお手製のパンを常備しているのよん!!


 今日は昨日作ったって言う、ベーコンエピ!!



「一種類じゃないのよねぇ??」



 普通のベーコン。


 ベーコンとチーズ。


 あとデザートタイプでチョコとか。


 最後のチョコは、カイルのためよねん??



「けどけど、いい匂い!!」



 噛み応えがあって、塩っぱくて肉っ気もあってチーズもあり、他にも甘いものだなんて……最高じゃなぁい?!



「おーれも食べていーい?」


「ダメよ!? って……!!?」



 いきなり誰かがいるのにも驚いたけど……その相手が驚き過ぎだったわ!!?


 金の髪に黒の瞳。


 人懐っこい笑顔のまあイケメン。


 二度と会わないかと思っていた相手……!!?


 この世界の最高神であるフィルド=リディク=ラフィーネ張本人があぐらをかきながら、子供のように頬を膨らませていたわん!?



「え〜〜? たっくさんあるから一個くらいいいじゃない??」


「……いつからいたのよ」


「君がパン広げた時から??」


「…………何しに来たの?」


「ん〜?? 君のために来た」


「は??」



 今更、わざわざ、いったい全体なんのために??


 思わず、掴みかかった手を宙に浮かせていると、フィルドはニッコニコの笑顔でいたわ。



「君に付与させていた『残念称号』。役割を果たしたから、君から外すために来たんだ」


「……役割??」


「その称号は、チャロナの『幸福の錬金術ハッピー・クッキング』が目覚め……かつ、目覚めてからも負のエネルギーを消費するために連動させていたんだ」



 と言うことは、だ。



「……あたしは、オマケで転生させたわけじゃないのね?」


「もちろん。君の伴侶になるエイマーもいたからさ? ただし、何もせずに結ばれるわけにはいかない」


「……そ」



 チートはあったけど、単純にあたし達は転生させられたわけじゃないって事。


 とくれば、代わりに残念要素が付与されてもおかしくはない。


 あたしの転生ポイントはそこにあったってわけね??



「けど、【枯渇の悪食】による浸食は消え去った。だから、順番に君達へ課してた負のエネルギーとかを外しに来たんだ」


「……今?」


「チャロナにもちょっとあったからね? あっちは終わったから、次は君さ?」



 手を出して、と言われれて……掴み掛かろうとしていた手をおとなしく差し出した。


 ぽんぽんとフィルドが軽く手を叩けば、どす黒い色の光ったビー玉のようなものが出てきたわ。



「これが?」


「そう。もう君が空腹で倒れることはないよ? 大食いのとこはそのまま残っちゃうけど」


「それくらいいいわよ」



 ギルドからの依頼をこなすのも、これで楽になるわ。


 けど、フィルドがベーコンだけのエピを持って行って『じゃあね?』と言うのには、ちょっと怒ったけどぉおおお!?



「また、行くから」


「来なくていいわ!!」



 ほんと、神様ってお茶目な連中が多いわね!!?


 フィルドが消えた後に、ひとりで残ったエピを食べたけど……劇的にお腹が空いてしまうのはたしかになくなったわ。

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