181-2.デートへの期待(エイマー視点)
*・*・*(エイマー視点)
たしかに、婚約する前もだがしてからも、私達の関係はあまり変わらなかった。
私はいずれ、フィーガス殿のアルフガーノ家の養女になるとは言え……それはまだ年単位で先のことだ。まだまだローザリオン公爵家での料理人でもあったし、姫様に戻られたチャロナくんを助けたい気持ちが強く。
だから、わだかまりがなくなっただけでも随分と気持ちが軽くなっていたところに……マックスからの『デートの申し込み』があった。
(……嬉しくないわけがない)
むしろ、出かけたのもチャロナくんとエピアと一緒にリュシアの街に出かけた以来だ。今日チャロナくんが旦那様と遠出に行かれたように……私も遠出になるのだろうか??
マックス自身は任せてくれと言って、私を厨房に送ってからはどこかへと行ってしまった。何か、計画を練るのかもしれない。
「おや、いい顔をしているね? エイマー」
厨房に戻ってすぐに、料理長が微笑んでくださった。
「……そんなにもでしょうか?」
「うん。マックス様からのお誘いかな?」
「…………はい」
『そういや、全然でやんしたねぇ?』
マックスの契約精霊であるレイは、最早ここの一員と言えるくらいにコックスーツが似合っていた。今は、今朝チャロナくんが仕込んだ生地を分割して丸めてくれている。彼女の
「ん〜……それなら、レイバルス公も行くだろうね?? 私ひとりでもなんとかなるし、行ってきなさい?」
「まあ……チャロナくんをあんまり当てにしてはいけないですしね?」
『本人気にしてないでやんすけど、王女様ですからねぃ??』
「「……ああ」」
私達が旦那様のご指示通り、以前と変わらず接しているからだろうが……彼女もまた変わらない。
王女に戻っても、この屋敷で過ごすことを選び、生活していくことにした。
一応、先日旦那様と結ばれてご婚約されたらしいが……パーティーなどはいつだろうか?
私達やレクター達のようにすぐではないようだが。
「何はともあれ、いい事だ。楽しんできなさい?」
『俺っちは移動手段でやんすけど』
「そこはまあ、仕方ないさ?」
『シェトラスはん……』
たしかに、マックスはSS級冒険者なため、並大抵の猛者では立ち向かっても返り討ちに遭うだけだ。レイも当然強いが、二人で打ち合いをしたところは幼い頃以来見ていない。
とはいえ、私は料理人だけにうち込んできたので、あまり詳しくはないが。
(……リュシア、にもし行くとしたら。色々回りたい)
誰かと交際するなど初めてで……食材の調達以外で出かけたこともほとんどない。
だからこそ、期待してしまい気持ちが昂ぶっていくようだった。
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