173-1.罪を振り返る(イシュー視点)
*・*・*(イシュー視点)
あれから、まだ二日も経っていないのに。
僕は気がついたら、牢に入れられていた。
他の強固派だった臣下の方々はいらっしゃらない。
僕だけ……僕だけなんだ。
「……どうなるも、結果はひとつ」
僕は……玉座の間で王女殿下を殺そうとした。
未遂でも罪は罪。
それに、神にも見放されたのだから……僕に生きる意味などない。
アーネスト様にも……見向きもされなかったのだから。
「…………何故、僕は王女殿下を……?」
見放されたショックが強過ぎて、どうして計画したかもおぼろげになっている。
ああ、ああ……アーネスト様、陛下。
僕は……正しい道を切り開こうとしただけなのに。
どうして、牢の中に……一度とてないものだと思っていた事態になってしまったのか?
神が仰ったように、僕が愚かだから?
「反逆罪でもあるか……僕が……僕が?」
僕はセルディアスのため……いいや、僕自身のために動いたのだ。
王女殿下の帰還など邪魔に思えただけ。
たしかに……愚かでしかない。
神にあのように仰られて当然だ。
「もう、遅い……。僕にはもう未来だなんてない」
死罪を与えてくださるか、獄死か。
そのどちらしかない。
そして、憧れていたアーネスト様にお目にかかるのも二度とない。
そう思っていたのに。
「……まったく、ここは埃っぽいわい」
何故、その憧れの方が……格子越しとは言え、僕の目の前に?
これは夢なのだろうか?
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