172-2.手直し完了






 *・*・*









 服は、エイマーさんのを借りる事で何とかなった。


 けど、コックスーツは全体的なサイズの問題で無理だったため、パン作りとかをする事が出来なくて……エイマーさんの部屋で待機する事になりました。



『大丈夫でふかぁ?』



 ロティは自分の服とかは自分の魔法で全部変えられるので、サイズ変更するのはお手の物らしい。羨ましい限りだが、私の服までは魔法で変えることは難しいそうだが。



「うう……チャロナは全然気にしなかったのに、こんなに大きいのが大変だなんて……!?」



 エイマーさんは二十年以上も悩んでいたのだから……大変で済まないだろう。私だなんて俄かじゃなくて、元はこの大きさだってロティが言うから……ずっとこの大きさのままだ。


 なら、下着とか色々変わっちゃう!?


 お城の人達がくれたドレスも手直しだなんて、非常に申し訳ない!! 手間暇かけさせて大変申し訳ないわ!!



「はい! チャロナちゃん!! 第一陣が出来たわ!!」



 メイミーさんが扉を開け放ち、アシャリーさんと一緒に大量の服を抱えていた。



「とりあえず、出来たわよ〜?」



 アシャリーさんが差し出したのは、ブラの方。ブラについては、日本でもこの世界でも同じだ。くよくよしていてはいけないので、メイミーさんが扉を閉めてから、ブラをつけることにした。さすがはメイドさん達、サイズぴったり!!



「大丈夫です!!」


「じゃ、次はコックスーツねえ〜?」


「ズボンも少し調節したわ」



 コックスーツ一式を着替えた後は、しっくりくるくらいぴったりと仕上がっていた!!



「こちらも大丈夫です!!」


「ドレスもいいけど、やっぱりチャロナちゃんはこっちよね〜?」


「そうね? このお屋敷に来てからはこうだもの??」



 たしかに、胸を除けばいつも通りの私のスタイルだ。


 これをここで、これからも続けられるのが嬉しくて堪らない。


 だから、この姿を見ていただこうとロティを連れてカイルキア様の執務室に行くことにした。メイミーさん達は引き続き私の服の手直しをしてくださるそうだ。



『でふ! でふぅ!!』



 ロティはとってもご機嫌さんだ。このお屋敷に帰って来れたのが嬉しいみたい。



「また、パン色々作ろうねー?」


『にゅ! おまんじゅうもでふ!』


「そうだね? ホムラにも行かなきゃだし?」



 あともうひとつ、何か忘れているような気がしたんだけど。首を捻っていたら、後ろから誰かに肩を叩かれた。



「やっぱり、しっくり来るなあ? 嬢ちゃん?」


「フィーガスさん!!」


『でふぅ!?』



 昨日もお城で会ったけど、以前のような無精髭とかもない若々しい顔立ちのままだ。『魅惑の美声チャーム・ボイス』は制御していただいてるからか、落ち着いたイケボになっている。



「…………あ? なんか胸でっかくなってねぇか?」



 フィーガスさんは事情を知らないので、私の胸を釘付けするかのように見つめてきた。カレリアさんがいるのに、セクハラですよ!?


 けど、異常なことに変わり無いので、ロティに教わった情報も含めて説明はした。



「……ってわけです」


「ほーん? ま、王妃様があれなのに、嬢ちゃんが違うのはおかしかったからなあ?」


「……しみじみと言わないでください」


「良いことだろ? んで? 今からカイルんとこか?」


「はい。大丈夫だとお伝えするのに」


「んじゃ、一緒に行こうぜ?」



 歩きながら、さっき忘れていたのはフィーガスさん達のウェディングケーキについてだったのを思い出した。

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