168-1.家族との朝①






 *・*・*










 今度こそは普通に眠れて、次も目を開けた時は。


 お兄さんがカーテンを閉め忘れた窓から差し込む日差しが、部屋を明るくしていた。パチパチをまぶたを動かしてから……体を起こすと。


 私は家族と一緒になって寝ていたことを思い出して、皆の方を見てみた。



「くぉー」


「すー」


「ぷー」



 いびきはかいていないけど、寝息を立てながら眠っていた。私はお母さんそっくりとは言え……何この美形集団と言うくらい、朝日以上に目の前の光景がまぶしい!?


 お父さん、四十代だと思うけどパジャマの胸元がはだけて色気むんむんなんですけど!?


 お兄さんはと言うと、二十代のはずなのに……まるで子供のように寝相が悪かった。それでも、お父さんと瓜二つだから、顔はいい。


 お母さんはすよすよと寝息を立てて寝ていた。と思ったら、目をぱちくりと開ける。そして、私の方を見ると『ふふっ』と笑ってから体を起こした。



「おはよう、チャロナ」


「おはよう、お母さん」




 ああ、まぶしいほどの美人さんだ。自分がこの人と同じ顔だなんて、未だに信じられないけれど。まだ夢の中以外で再会したばかりだから、堪らずぎゅっと抱きついた。お母さんは私のいきなりの行動にも驚かずに、赤ちゃんをあやすようにして背中をさすってくれた。



「まだ信じられないかしら?」


「うん。お母さんのこともだけど……自分のことも」


「そうね? 私もまだ、自分が生き返ったことが信じられないわ」



 いきなり、自分が王女だと……孤児だと思っていたら、それは違っていた。家族がいて、実は亡命させるためにホムラに連れて行かれたのも……ユリアさん達の立てた計画によって、私のこの世界の運命は変えられた。


 と言うよりも、この体の本来の『マンシェリー王女』の生き方についてが。


 どうして『私』の魂をこの体に入れたのかは……多分もう聞けない。昨日の玉座の間で別れたのが、多分最後だ。



(フィルドさんはひょっこりやって来そうだけど……)



 それがお城なのか、カイルキア様のお屋敷なのかはわからないが。


 とりあえず、今日はあのお屋敷に帰る日だ。



「「んんん〜〜〜〜!!」」



 ちょっと考えていたら、お父さん達がほぼ同時に起き上がった。


 起き方までそっくりだなんて、親子だなあって思う。私はまだ、その輪に加わったばかりだけど。



「……アクシアに、チャロナもちゃんといる!!」



 そしてお父さんは、私とお母さんを見ると昨夜散々泣いたのに、また涙ぐんでしまった。アインズさんの時とは違い、家族だとわかると感動屋さんだなと思う。お兄さんもうんうんと頷いていた。



「侍女達に頼んで、母上とチャロナは着替えて欲しいんだぞ! その後に食堂に来てくれ!!」



 と、お兄さんが言った後に。カイザークさんが連れてきた侍女さん達に髪とメイクに、簡易とは言え高級なドレスに着せ替えられたのだ。

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