146-3.孫達は(フィルザス視点)






 *・*・*(フィルザス視点)








 出会える。


 出会えた。


 直接言葉を交わしていないけど、会えたんだ!


 ちっさくて、ちっちゃくて。でも、とっても愛らしくて。


 将来の、僕の奥さん。僕の初めての妹。


 眞白ましろの世界の主神。


 とうとう、その時が来たんだ。


 何万年待ったんだろう?


 それに、ついさっき。


 まだ寝てたはずのディーシアから、水鏡で連絡があったんだ。僕が会った時よりはもっと大きくなった姿で。



『……フィー?』


『……シア? ディーシアなの?』


『うん! シアだよ!!』


『起きた……の?』


『うん! あの子達のために』


『あの子達……?』


『シアを、私を。ここまで大きくしてくれた、チャロナって女の子のためだよ!』


『……チャロナ?』



 シアの話だと、異界渡りさせた魂を。爺様達の世界で転生させて、あの世界での大災害【枯渇の悪食】で失われたレシピを復活させた女の子のことらしい。


 その子には、特殊な精霊を与えて、日々美味しいパンを作っているそうだ。じい様達と一緒に、シアも直接何回か会いに行って、その美味しいパンとかを食べさせてもらったそうだ。


 そのお陰で、今ここまで大きくなったそうだ。


 僕んとこのカティアもだけど、蒼の世界の料理人ってすごいなあ?



『ねぇ、フィー? じーじ達に言われて、あの子達に何かあげたんでしょ?』


『んー? 僕も自分の力の結晶を渡しただけだから。爺様達が何に使うかまでは知らないよ?』


『そう。……けど、あの子とあの子のお母さんのために使われると思う』


『お母さん?』


『こっちでのチャロナのお母さんは、一度殺されているの』


『穏やかじゃないねえ?』



 それで、僕の生と死の再生への力を分けてほしいと言ったのか。


 当然爺様達にも出来るだろうけど。シアが関わっているから僕にさせたのだろう。



『……あの子の選択の時は近い。じーじ達が誤魔化してきた記憶の封印も全部解けちゃう』


『悪いこと?』


『チャロナが泣いちゃうかも』


『そこをフォローするのが僕らの役割?』


『……だと思う。私達のためにも、フィー手伝って』


『……僕にも出来ることがあれば』



 僕らのためにもなるのであれば。


 このフィルザス。


 つがいとなる我が妹のために、力を貸そう。


 そう言うと、水鏡で映したシアの精神体が、ぎゅっと僕に抱きついてきた。



『絶対絶対……ぜーったい、頑張ろう!』


『うん、頑張ろう?』



 だから僕は。


 シアとの連絡が終わってから。


 力を貯め込むのに、神域に戻って聖樹水の泉に浸かり、神力を取り込んでいくのだった。

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