144-4.ミニハンバーガー






 *・*・*








 配膳時間になると、悠花ゆうかさんがご機嫌でやって来たのだ。



「今日は〜なーにぃ〜?」


「ミニハンバーガー」


「んま!……けど、なんでミニ?」


「定例会の差し入れ。試食も兼ねてなの」


「なーる? で、ちょーだぁい?」


「はーい」



 少し大きめの皿には、三種類。


 チーズバーガー。


 フィッシュバーガー。


 ベーコンレタスバーガー。


 である。


 完全に、私の好み全開だけど。



「んま!? ミニでも食べ応えありそうじゃな〜い!」


「悠花さん最初だから、味の感想もお願いしていい?」


「もっちろんよん」



 紙に一応半分くらい包んであるので、手掴みで持ち上げて、まずはベーコンレタスバーガーから。



「……どう?」


「……うん。いいわね? ケチャップマヨの……オーロラソース? あれがレタスとベーコンとかの間に挟んであるから食べ易いわね?」



 で、二、三口で食べ終えたら次はフィッシュバーガー。



『でふぅ?』


「……うんうん。王道のフィッシュバーガーね? けど、タルタルソース味なのがいいわ。少し溶けたチーズと相性抜群」


「ほっ」



 エピアが特に騒ぎそうね〜と、半分だけ食べてから最後のハンバーガーに手を出した。



「……うんうん? ピクルス、入れたの?」


「? ほんのちょっと」


「これ子供には好き嫌いありそうね〜?」


「あ〜やっぱり?」



 入れた方が美味しいだろうけど、野菜の酢漬けは子供にも好き嫌いが激しい。


 今日は大人ばかりだから大丈夫だと思っていたけど、やっぱり定例会ではやめておこうと決めた。



「それ以外はピカイチだったわ! まさか、この世界でジャンクフード食べれるようになるだなんて思わなかったわ?」


『にゅ』


「えへへ」


「で、チーちゃん。おかわりあるかしらん?」


「あと一回分だけだよ?」


「わかってるわ〜」



 で、おかわりを持って行ったら、カイルキア様がやって来られた。



「……今日の菓子はなんだ?」


「定例会の試作も兼ねて。カイル様にはこの間召し上がっていただいたのと同じようなミニハンバーガーです!」


「!……わかった、席にいる」


「コーヒーでいいですか?」


「ああ」



 なので、シェトラスさんにコーヒーをお願いしてから悠花さんに渡しに行くと。


 何故か、ニマニマしていたのだ。



「?」


「あのやりとりだけだと、新婚に見えなくもないわね〜?」


「な、なんで!?」


「だーって。メニューを聞くとことか〜?」


「ふぇ!?」



 そんな感じに見られた!?


 恐れ多い……恐れ多いよぉおお!?


 けど、仕事は仕事なのでハンバーガーの皿を持って行ったら。


 先にシェトラスさんが持っていかれたコーヒーを優雅に飲んで。


 西日に照らされて、相変わらず一枚の絵になるようなカイルキア様の姿があった。



「……ああ、ありがとう」



 そして、労いの言葉をかけていただけたんだから!!


 マジで!!


 心臓がキュン死しそう!!


 けど、出来るだけ表面に出さないように、頑張ってお皿を出しに行き。


 カイルキア様は、今回のミニハンバーガーもおかわりするくらいたくさん食べていただきました。

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