143-1.こってりあんバターサンド①
*・*・*
昨日は、大変だけど少し楽しかった。
この世界で、前世の記憶が甦るまでは。本当に家事だけが得意のへっぽこ冒険者でしかなかったのに。
SSランクの冒険者さんから、合格点をもらえたんだもの。嬉しくないわけがない!
とりあえず、昨日は
火、水、風、土、木。それぞれの属性をきちんとイメージしてから、相手に繰り出す。
その方法を教わってから、私の魔法の威力はさらに増して。あとは実践といきたい感じだったけど、時間も時間だったのでまた別日に。
帰ってきてから、また仕事に戻って。今日のおやつを考えたのだ。
「今日のおやつはあんバターサンドです!」
『でっふでふぅううううう!!』
疲れた時には甘い物あーんど、こってりしたもの。
小豆は菜園で定期的に収穫出来るので、あんこは作りたい放題だからだ。
「ふむ。あんことバターが合うのかな?」
「はい! 前世の頃、お父さんが好きだったパンなんです!」
「君のお父さんが?」
「食パンにあんこをたっぷり塗って、バターを落として炙るのもいいんですが。今日の予定はコッペパンにあんことそのまま切り分けたバターを挟みます」
『チャ、チャロナはん? むちゃくちゃこってりしてるでやんすけど??』
「レイ君、大丈夫。やみつきになるから」
『ええ〜?』
「とにかく、チャロナくんが美味しいと言うものは美味しいから作ろうじゃないか?」
『うぃ〜』
生地作り、あんこ作り。
そこからお昼ご飯の提供に、分割と成形。
お昼ご飯を提供していると、エピアちゃんが声をかけてくれた。
「今日は、どんなおやつなの?」
「えっとね? コッペパンとか揚げパンは覚えてる?」
「うん、美味しかった!」
「コッペパンにあんことバターを挟むの」
「……美味しいの??」
「半分は牛乳パンに近いかな?」
「! 楽しみにしてる!」
「うん!」
で、すぐにやってきたサイラ君と仲良くお昼を食べていた。ラブラブですな〜?
それから、おやつの提供前になったので。焼いてしっかり熱気を抜いたコッペパンに、横に切り込みを入れて。
甘めに仕上げたあんこをたっぷり塗って、長方形に切ったバターをしっかり挟んで。
これで出来上がり!
「へー? これがあんバター?」
「可愛らしいねえ?」
『……けど、こんなにもバターを?』
「とりあえず試食です!」
『でっふぅううう』
なので、切り分けてからひと口。
【PTを付与します。
『濃厚あんバターサンド』
・製造40人前=600000PT
・食事ひと口=500PT
→合計600500PT
レシピ集にデータ化されました!
次のレベルまであと2944568PT
】
今回もなかなかの数値だ。
やっぱり、ジャンキーな味付けは甘いのでもしょっぱいのでも、同じように高得点を与えられるかもしれない。
けど、だいぶ成形が上手になってきたシェトラスさん達のパンは、十分合格点をあげていい仕上がりだった。
甘めのあんこに、バターのこってり感と塩気がマッチしていて。
ずーっと不安がっていたレイ君も、ぱあっと輝くくらい驚いていたもの。
『甘い、けどしょっぱい! ふわふわで香ばしいパンとも相性抜群でやんす! 美味いでやんす!!』
『でっふぅううう! 美味ちーでふぅううう!!』
『やんなぁ、ロティ!!』
で、可愛くハイタッチするんだから。もう付き合っているんじゃないのかと思われるだろうが、まだ付き合っていません。
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