142-5.魔法訓練出張③(マックス《悠花》視点)
*・*・*(マックス《
あ〜〜もう!!
「……ぶったまげたわねぇ?」
『でやんすねぃ?』
チーちゃんが二発目に繰り出してきた、マグマの海。
あれの発想はあたしにはなかったわよ?
まあ、火の海って提案したのはあたしだけども?
けど、それにしたって。初回からあんなにも威力大だなんて。
(きちんと鍛えれば、カレリアどころかあたし以上になるかもしれないわねぇ)
冗談抜きにして、本気で鍛えてあげようかしらん?
けど、訓練は一応魔法のみだし。でも、体術も出来て損じゃない。
マグマが消えて、あちこちの土が黒焦げになったけど、それはスルー。
環境破壊になりかねないけど、草原よりはマシよマシ。
次にどんな攻撃が来るか、レイが結界の形状を元に戻しながら待っていたら。
ゴン!
なんか、また重量級の何かが当たった?
上を見れば、岩の塊が結界にぶち当たっていた。
何事!? と思っても、これはチーちゃんからの攻撃。
チーちゃんに振り返っても、難しい顔をしているだけだったわ。
「うーーん! 難しい!!」
『頑張るでふ、ご主人様ぁあああ!!』
和む風景のようで、若干和めないのはこっちねぇ?
大したダメージないように見えて、レイの結界にヒビ入ってんのよ?
岩が落ちたら、レイはすぐに修復してくれたけど。
『戦いのセンスあるでやんすねぇ?』
「ほら、あたし達って前世では戦闘に無関係でも、娯楽で知ることがいっぱいあったじゃない? だから、チーちゃんも色々想像は出来るのよ」
『……次が来るの怖いでやんすねぇ?』
「あたしも怖いと思うわ……」
ほんと、レイとの契約ん時に感じた恐怖並よ?
レイとは、ユーシェンシー伯爵家の領地で出会ったのよねえ?
うっかり、魔力溜まりの中に落っこちて、助けてくれたのが精霊体だったレイバルスと名付ける前の状態。
でっかい火の玉に見えたから、思わず殴っちゃったのよねえ?
【ぐ!? 助けたのに、何故殴るん!?】
『びっくりしたからよ!? あんた何!?』
【何って、精霊でやんすよ? お前さんこそ、ちっさいガキなのになんで女言葉なん?】
『前世が元女だからよ!!』
【ほう……? 面白い奴でやんす。お前さん、俺っちと契約して? ここ出たいでっしゃろ?】
『出れるならなんでもするわ!』
【だったら、簡単。俺っちに名付けしてくれん?】
で、属性〜とか。仮の姿〜とかを教えてもらってからレイの名を与えたのよね?
で、ずっと一緒にいるわけ。親父には、魔力溜まりの中に落ちたから、盛大に拳骨をお見舞いされたけーど。
ゴゴゴ、ゴン!
懐かしんでいたら、今度は岩で出来た大蛇が!?
結界を破ると言うよりかは、押してあたしの足を動かそうと言う寸法だったわ。
そう簡単に、レイの結界が壊れ……や、やばいわね?
何度も押したり、ぶつけたりしているうちに、さっき以上のヒビと圧力で押されかけているわ!?
けど、今回あたしは手出し出来ないから!?
「いっけぇええええ!!」
チーちゃんがそう掛け声をかけた途端。
岩の大蛇が振りかぶって、結界を破壊。
あたしとレイは仕方なく、頭が落ちて来る前にその場をは離れた。
「……合格」
「やったぁあああ!!」
『でふぅううう!!』
かかった時間、体感で二十分くらいだけども。
今まで何も出来なかった女の子なら上出来よね?
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