140-4.川魚バーベキュー






 *・*・*







 あれから、私が解体。


 カイル様が釣りをメインに分担したお陰で。


 天然のバーベキューが出来るくらい、食材が確保出来たのだった。二人しかいないので、ほとんど私の無限∞収納棚に入れたんだけど。


 収納棚は、魔法鞄マジックバックとはやっぱり違って、生き物でもたっぷり入ったので大半はそのまま収納。腐敗とかは心配しないでいいとか、陰から出てきたロティに聞いて確認は取った。


 そのロティも交えて、お昼ご飯タイム!


 ポテトサラダ、ペポロンとクリームチーズのサラダ。ミニハンバーガーで、ダブルチーズに、テリヤキにベーコンエッグなどなど。


 健啖家でいらっしゃる、カイルキア様のために。本当は昨日食べる予定だったが、収納棚に入れておいたから大丈夫だった。


 ピクニックシートみたいな、大きな布の上に広げたお弁当の中身にカイルキア様は少し目を丸くしたのだった。



「こんなにも……いいのか?」


「大きさは小さめなので。どうぞどうぞ」


『ロティも〜〜!!』


「うん、食べようね?」



 前回は影の中で待機させてたし、今日は大丈夫だろう。


 カイルキア様はまずテリヤキバーガーを。私はベーコンエッグでロティはダブルチーズ。


 それぞれいただきますをしてから、かぶりついた。



「!?」


『美味ちーでふぅううう!!』


「うんうん!!」



 我ながら、いい出来栄え。パンは100%小麦粉じゃなく、全粒粉を混ぜたことで香ばしさが増して。


 ベーコンのカリカリと半熟卵の黄身のまろやかさがパンによく合う!! 合い挽き肉で作ったパティもジューシーで美味しい!!


 一日以上時間が経っているのにこの美味しさは、さすがは異能ギフトだ。



「……美味い。お前の手がけたものは全て美味いな?」


「きょ、恐縮です……!」



 一個目を食べ終えたカイルキア様は、すこーしだけ口元が笑っていた。それが、超超超超かっこいいんだから!!



「……魚の方も焼けてるかもしれないな?」


「あ、見てきます!」


『でふぅ!』


「解体で疲れただろう? これくらいなら料理をしない俺でも出来る。待ってろ」



 と言われてしまったので、塩焼きにしたニジマスが出来上がったのをいただいたわけだが。


 皮が、塩化粧が。


 もうもうもう!! 超美味しそう!!


 カイルキア様が食べ始めてから、私達もいただいたのだった。



『うひょぉおおお!?』


「おい、し!」



 皮パリパリ。塩加減がちょうどいい。


 中もほろほろで、ちょっと大きいけどパクパク食べることが出来た。



「……そうか。喜んでもらえて何よりだ」



 カイルキア様はとっくに一本食べてしまってて、今はミニバーガーを手にしていた。男の人って、やっぱりよく食べるんだなと実感。


 悠花ゆうかさんは、ユニーク称号のせいでちょっと特殊だけど。



「楽しいです」



 前世でもバーベキューはやったことがあっても、好きな人とはなかった。


 だから、楽しくて楽しくて。幸せ過ぎて明日死んでしまってもおかしくないくらいだ。そんな事言ったら、絶対多方面で怒られるだろうけど。



「……そうか。俺も楽しいな」



 その時の笑顔が。今までに見たことがないくらい、快活で素敵で。


 ああ、私はやっぱりこの人が好きなんだなって、改めて自覚したのだった。

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