140-3.通達が来た(マックス《悠花》視点)
*・*・*(マックス《
釣り。
別にいいのよ、釣りは。
日本でも釣りデートってワードはあったわよ?
けどね?
「……なんで二回目でいきなり釣りデートなのよぉ」
「まあ、たしかに」
今のあたしは、レクターと一緒に書類の整理をしている。暇だし、チーちゃんとカイルのデートがあってもなかろうと書類は来るので。
とりあえず仕分けだけはしている。全部が全部じゃないけど、カイルの判子とか必要じゃないのはレクターが簡単に目を通してそれ用の判子を押しているけど。
「せっかく、チーちゃんの晴れ着をメイミー達が頑張ってくれたのよ!? チーちゃんが汚すわけじゃないけど。もっと他にない!?」
「けど。リュシアとかに行ったら、あの二人囲まれちゃうだろうし」
「そこよ! も〜〜、面倒い!!」
何回か確認には行ったけど、リュシアじゃ今では。
チーちゃんの、あの不思議な演説っぽい感じにトランスした状態で、糞元子爵を捕まえた事件が。
美化に美化されまくって、この世界でのチーちゃんのお母様だった亡き王妃様の観劇と同じくらい人気になってしまっているのだ。
髪とか目とかは違っても。王妃様の再来ではとか騒ぐ始末。厄介なことに、それが他の街にも広まっているらしい。
ので、迂闊にチーちゃんは街に遊びに行くことが出来ないわけよん!
カイルは領主だし、元王弟殿下の子息だから顔割れているし。いっそ、チーちゃんとさっさと結婚出来たら……と思っても。あれから来ないフィルド達のせいで、一向に進展出来ないのだ。
もし今日も。チーちゃんかカイルのどっちかが告っても、きっとなかったことにさせられるのだろう。
だが、そろそろ例の式典も近い。
カイルも、チーちゃんも。自分の心に正直になれるはずよ!!
「やっほー!!」
整頓がだいたい終わった頃に、シュラが転移でやってきた。しかも、今日は貴族らしいと言うか王家の簡素な装いでいたわ。
「どーしたのよ?」
「あれ? カイルは??」
「チーちゃんとデート」
「なんだって!? これは追いかけ」
「するな!? 用件は!!」
「い……たいんだぞ」
兄貴としての野次馬根性出すな、阿呆が!?
とりあえず、手に持ってた書簡の中身を見せてもらうと。
「勲章……?」
「授与式典?」
「と、言うことにしてあるんだぞ!!」
つまりは、本当はチーちゃんの生誕祭に、改めて成人の儀をとりおこなう予定。
この書簡の形式は正式でも、チーちゃんに違和感なくきてもらうためか? 勲章だけでじゅーぶん、あの子には緊張ガチガチなのが浮かぶけど。
「なんの勲章にさせんのよ?」
「パンなどの食事の改革だね!! そう言う理由にして、列席する大臣とかに食べさせれば。いやでもマンシェリーの技術が本物だとわかるさ!!」
「なるほど。一部には帰還が知れ渡っていても。……姫様のパンを食べたのはさらにごく一部。ホムラへの派遣もありますし、示すにはちょうどいいでしょう」
「なーるほ」
「えー。マンシェリーとカイルがデート。……誰が言い出したんだい?」
「あいつ本人」
「押したのは僕らですが」
「く〜〜!! 着実に気持ちを育んでいるんだね!! けど、式典までどうなるかわからないからなあ?」
「そこよねぇ?」
まったく、あの最高神様達は、あたしのマブダチと幼馴染みに何をさせたいのかしらん?
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