130-2.後悔①(シミット視点)






 *・*・*(シミット視点)








 あの子が。


 チャロナがパーティーから出て行ってから、もうすぐ二か月くらいになる。


 相変わらず、今のパーティーだと誰も家事がうまくいかずで野営が出来ないでいる。


 それに、セルディアスにこれ以上居てもチャロナが戻ってくるわけじゃないから、あの子の育ったホムラに旅立ったわけだが。


 あたし達は、あの子の育ての親であるマザーを救出する応援に加わり。


 マシュランが無事に救出したのだが……。マシュランがチャロナを脱退させた方法が、マザーにも怒れる事態だったので。


 あたし達も含めて、パーティー全体でマザーからお叱りを受けたのである!!


 同意はしたけど、脱退方法はマシュランが提案したのに!?


 そして、マザーを一時的に保護するのに、王族から皇族の城であるシュリ城に送ったのだが。何故か、あたし達も滞在させられ。反省として、マザーからシュリ城の清掃を言いつけられた。


 結構な年なのに、マザーも元気いっぱいに掃除をして。


 これだと、チャロナがあれだけ雑事を出来たのも納得だ。


 今も、今日で最後の清掃をしながら……チャロナがホムラで何故育った理由を振り返っていたけど。



(……お母さんを。王妃様を戦争で亡くしたのは、マシュランから聞いていたけど)



 そこから、神の御告げもあって。家臣のお一人が不寝でこの国に亡命しただなんて。


 パーティーにいた頃は普通の女の子だったのに、誰がそんな壮絶な過去を抱えていると思うだろうか。


 多分だけど、今は知ってるかもしれない。


 そして、泣いてしまったかもしれない。



(……でも。完全に一人じゃないはずよ)



 お父さんである陛下は、街の噂を聞いた限り賢君らしいし。お兄さんらしい、皇太子殿下もいらっしゃるそうだから。


 だから、一人じゃない。


 いきなり、王女様って真実には驚いたでしょうけど。


 でも、冒険者より良い生活は出来てると思うわ。


 チャロナ、幸せになりなさい。



「……散々コキ使っちゃったけど」



 お礼とかも曖昧にさせてたし、いいメンバーじゃなかったかもだけど、それくらいはどうか許してほしい。


 でも、一番落ち込んでいるのは。


 我らがリーダーのマシュランだ。


 今も、マザーと一緒に石畳を磨くのに競争させられてしまってる。



「まだまだです!」


「うう……はいぃ!?」



 明日からは、孤児院の再建のためにあたし達も出向くことになっている。


 もし、それらも全部終わったら。


 あたし達はどこへと旅を続けるのだろうか?


 マシュランは考えているのかしら?

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