127-2.第三回パン教室②(アイリーン視点)
*・*・*(アイリーン視点)
たしか、はんじゅくのゆで卵には覚えがありましたわ。
前回の、リュシアの孤児院への定例会の時でした。子供達に、自分達で好きなだけ食べられる卵サラダ作り。
あれかと思いましたが、今回の
茹でる時間ももっと短く、さらに流水でしっかり冷やすだけでなく、
卵の方にも、角で細かくヒビを入れまして、丁寧に丁寧に殻を剥いたら。
「まあ、美しいですわ!」
真珠のような光沢があるような、美しく傷ひとつない白の卵。
ただ、お姉様が壊れないように持っていらっしゃるのが不思議ですわ。
「生の卵もですが、この状態の卵も壊れやすいので注意してください」
すると、お姉様が軽く卵を握っただけで、ふにゅんと音が聞こえそうなくらいにまで凹みましたわ!?
「この状態の卵を、サンドイッチに挟むととても可愛くて美味しい出来栄えになるんです」
「では、チャロナさん? 殻を剥くのは慎重にせねばならないのですね?」
「はい。少しの亀裂で、中の黄身があふれてきます」
「頑張らないとね?」
「はい、おばあ様!」
そこからは、本当に大変でしたわ!!
殻にヒビを入れるのはそこまで難しくありません。ですが、お姉様が内側の膜を食べると食感というのが悪くなるので。その膜も丁寧に剥がそうとしたら白身に亀裂が走り、卵が割れてしまう。
これは、お姉様の予想の範疇だったようなので、それは味見用にとマヨネーズで軽く混ぜたものを食べさせていただきましたが。
「「まあ!?」」
「美味しいんだぞ!? 茹で加減で、卵の味が変わった気がするんだぞ!!」
「はい。この卵への味付けも。醤油や昆布が見つかりましたので、煮卵と言うものも出来ます」
「「「「にたまご??」」」」
「少し甘辛い味付けをしたゆで卵です。また試作してみますね?」
「頼んだんだぞ!!」
未知なお味の卵も気になりますが、今日はパン教室ですもの。
メインのサンドイッチを作るべく、シェトラスやエイマーお姉様が切り分けてくださった、食パンと言うものに。今から、ひたすらバターやマヨネーズを塗っていくそうですわ。
「バターやマヨネーズを塗るのは、野菜やソースなどの水気の多い食材からパンを保護したり、コクと旨みを足してくれるからです。両面ではなく、具材を挟む片面で大丈夫です」
「なるほど」
「お姉様、レタスなどでベシャベシャにならないんですの?」
「その原因は挟む具材にもあります。洗っただけの葉野菜を使わない。よく水気を切る、トマトも同じく。キャベツを使う場合もそうですね?」
「わかりましたわ!」
「では、今からアイリーン様達が頑張ってくださった卵を使ったサンドイッチを作ります」
その前に、とお姉様は失敗した卵以外にも。黄身を固めに茹でた卵をご用意なさいましたわ。
「どうされますの?」
「これと。あと、ツナを使ってソースを作ります」
「卵に卵ですの!?」
「やみつきになりますよー?」
「ごくり」
それは、絶対、食べてみたいですわ!
とりあえず、わたくしには卵のカットと言うものを頼まれ。これは、子供達に作らせたのと同じ要領なので、わかりやすく。わたくしはひたすらに、ボウルの中に刻んだ卵を入れていきましたわ。
ここに、おばあ様が手早く刻んだ玉ねぎを入れて、さらにたっぷりのマヨネーズをお姉様が入れたのです!
「仕上げに黒胡椒も多めに……味見は出来上がってからにしましょうね?」
「頑張りますわ!!」
美味しいサンドイッチのためにも、わたくし頑張りますわ!!
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