127-1.第三回パン教室①






 *・*・*









 今日のパン教室は、お昼ご飯も兼ねています。



「では、今日のパン教室を始めさせていただきます!」


「おう!」


「よろしくお願いしますぞ」


「お願いするわ」


「頑張りますわ!」



 シュライゼン様、カイザークさんに。エリザベート様とアイリーン様。


 人数は増えたけど、今日は人数が多い方がずっとありがたい!



「はい。今日は可愛くて美味しいサンドイッチを作っていきます!」


「まあ、お姉様! 素敵な提案ですわ!」


「サンドイッチ……あなたの世界ではどのように違うのかしら?」


「サンドイッチと言っても、色々種類があります。今回は、切り口が美しかったり可愛らしいものを作っていきます。なので、いつものパン作りはお休みにしますね?」


「わかりましたわ!」


「わかったんだぞ!」



 その前に、とバタートーストのミニを作って。トーストの美味しさを味わってもらったら。



「「なんと!?」」


「美味しいわ……炙ったパンがこんなにも美味しいだなんて」


「美味しゅうございますわ、お姉様!」


「時間があれば、シュライゼン様とカイザークさんはご存知のホットサンドも作りますね?」



 食パンの美味しさを知った上で、サンドイッチ作りに取り掛かった方がきっと楽しめるから。


 まずは、力仕事の方は男性陣に。


 シュライゼン様にはホイップクリーム作り。カイザークさんにはカスタード作りを教えることに。



「甘いサンドイッチでも作るのかい?」


「フルーツサンドと言うのがあるんです。クリームやカスタード、あとはクリームチーズも」


「チャロナさん? クリームのチーズと言うのは?」


「これです!」



 収納棚に入れておいたクリームチーズの皿を、小皿に取り分けてから蜂蜜をかけて、エリザベート様とアイリーン様に試食していただいた。



「まあ!! 滑らかですのに、口溶けが良くて。蜂蜜との相性が抜群ですわ!」


「これを……サンドイッチに?」


「甘い以外にも食事にも使えるんです。お教えしますね?」


「お願いしたいわ」



 シェトラスさん達には野菜の準備をお願いしているので、エリザベート様とアイリーン様には半熟ゆで卵を教えます。


 基本的に、この世界には保存の魔法などの生活魔法があるので、冷蔵庫に入れるのは加工した後。加工すると保存の魔法が効きにくいので冷蔵庫があるそうだ。不思議。


 とりあえず、半熟ゆで卵のコツを教えますとも。



「今から作るのは、半熟のゆで卵です」


「はんじゅく?」


「ゆで卵は、あまり貴族に需要がないものね?」


「そして、可愛く美味しいサンドイッチを作るのに欠かせません。私やマックスさんの前世では、女性に特に人気でした」


「頑張りますわ!」


「注意点がいくつかありますので、気をつけてくださいね?」


「はい!」



 そして、せっかくなのでコカトリスの卵を大量に運びました。



「お鍋に、まず熱湯ボイリングを入れて。塩を少々。再度コンロで加熱したら、レードルに卵を乗せてゆっくりお鍋の底に沈めてください。コカトリスの卵の殻は頑丈ですが、普通の卵だと脆いのでここでヒビが入ってしまうことが多いからです」


「たしかに。そうすると美しいゆで卵が出来そうにないわね?」


「それと、今回はタイマーと並行して茹で加減をお教えしますね」



 タイマーを召喚させて、だいたい六分半。


 起動させてから、今回はつきっきりで面倒を見ることにしました。


 タイマーが鳴ってから、おたまの底を軽く殻に当てて。伝わってきた振動でサインを確認する。これの確認には、女性陣以外にも男性陣にも確認してもらった。



「この振動が完全にない状態だと、普通の固茹でになるんです。今回は半熟でもかなり柔らかいのでこの音を覚えててください」



 そして全員が頷いてから。


 私はためらわずにミトンを装着した両手で鍋を持ち上げ、シンクで急速冷却するのだった。

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