113-2.鍋パーティー開催直前(シャミー視点)
*・*・*(シャミー視点)
久しぶりと言っても半月くらいやけど。
しかも、昼飯に今度は食堂やて!
なんやろ……サイラくらいしかまだ食べられてないって言うピザって食いもんやろか?
けど、昨日のカレーも美味かったなあ、と伝令を終えてから厨房の裏をなんとなしに歩いていると。
ものごっつーええ匂いがした!
しかも、カレーパンやカレーライス、カレードリアでお馴染みのあのスパイシーな匂い!
「え、え、え!? まさかカレー関係なん!?」
まだあの料理が応用出来るのか……と、ちょびっと覗きたい気持ちに駆られてしまい、抜き足差し足しながら裏口から入ったんやけど。
幸せのカレーの香りに、日々の疲れが癒されそうになってしもたわ。
『……おにーしゃん?』
「うぉ!?」
幸せの香りに浸ってたら、王女様の契約精霊の……たしかロティちゃんが俺の目の前に浮かんでた。
『にゃんで、ここにいるんでふ?』
「か、堪忍や。ロティちゃん! ええ匂いに釣られてここに……」
『にゅ! ご主人様のご飯おいちーでふ!』
「! やんなあ? 何作っとんの?」
『お鍋でふ!』
「……………………いやいやいや、鍋使わな料理出来んやろ?」
何言っとんのと思ったら、ロティちゃんは腰に手を当てて、ちっちゃな胸を反らせた。
『お鍋、って料理なんでふ!』
「……ほう?」
『濃いめのしゅーぷに、お肉や野菜を入れて煮込むんでふ!』
「…………ふむふむ。なるほど?」
それをカレー味にさせたのかもしれない。
ものっそ……ものっそ興味湧いてきた!
早よ食いたい! 思うけど、まだ仕事中なので無理。以前のおかわりラッシュで、ゼーレンさんにものっそ叱られたからな……。ピデットの方もう、ライオネルさんに盛大に怒られたらしいし。
とりあえず、ロティちゃんにバイバイ言うて帰ろうとしたら。
『おにーしゃん、手伝ってくだしゃい』
「……はい?」
『今、人手、ほちーんでふ!』
「いやいやいや、俺もまだ仕事が」
『ちょっとだけぇえええ』
「ええええええええ」
と、なんだかんだで、厨房にまで引きずり出されてしまったわけである。
「あれ、シャミー君?」
「「シャミー??」」
『?』
「ど、どーも」
一人だけ、直に面識がなかったのは、たしかマックス様の契約精霊でいらっしゃるレイバルス公。見た目は俺とかと同じくらいだけど、男前度が違い過ぎる!
じゃなくて、この場をどう凌げば!
「ふむ、シャミー。伝令の仕事は終わったのかな?」
アセアセしてたら、料理長は俺に声をかけてきた!
「は、はい。終わりました!」
「で、今からゼーレン殿のところへ?」
「は、はい!」
「じゃあ。一度行ってきて、あと数人呼んできてもらっていいかな? 少し準備するのに人手が欲しいんだよ」
「へ?」
怒られるどころか、逆にお願いされてしまった。
そんなにも人手が足りないか、と思って彼の後ろを見たら、鍋が一つ二つどころじゃなかったのだ!
(な……んなん、あれ?)
ロティちゃんは鍋の料理と言っていたが、本当に鍋がいくつも用意されていた。たしかに、これでは人手が欲しいのだろう。
「頼めるかい?」
「! 承知しました。すぐに行ってきます!」
「よろしくねー?」
「はい!」
あの鍋の中身がカレーの何かというのも気になるが、鍋を使ったスープでもシチューでもない料理。
それが気になって、急いで敬礼してからゼーレンさんのところに向かうのだった。
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