113-1.鍋料理解禁!






 *・*・*









 急いでエリザベート様にお返事を書いて、レクター先生に頼んで魔法鳥に仕立ててもらい。


 明日の昼には、おそらく返事が来るだろうと言うことで、ちょっと思いついたのだが。



「……また催し物をしたい?」


「はい! ヌーガスさんにいただいた油揚げは限りがあるので、そんな大規模に出来ませんが」



 せっかくの油揚げを使えるのなら、早い方がいい。


 なので、カイルキア様にお願いして、またお屋敷内でパーティーが出来ないか頼み込んだのだ。



「あぶらあげ、というのは?」


「大豆と言う豆の加工品なんです。豆腐と言うものにしてから、さらに薄く切って油で揚げたものになります」



 念のため、収納棚に入れて置いたものをカイルキア様に差し出すと、これが食べ物に見えにくいのか首を傾げてしまった。



「これをどうするのだ?」


「さっと煮込んだり、色々使えます。パーティーには、鍋と言う料理を予定してますが」


「「鍋??」」


「スープとはちょっと違うが、濃いめに味付けした液体と煮込んで取り分ける料理だ。チーちゃん、それで何鍋作るんだ?」


「カレー鍋!」


『でっふう!』


「「カレー!?」」



 カレーパン、カレーライスに引き続き、カレーブームになっているお屋敷なら絶対出来ると思ってた!



「ただ、少し和風……私と悠花ゆうかさんの前世向けの味付けですね。昆布とかもヌーガスさんからいただいたので、下準備はバッチリです!」


「……それなら許可せねばな? シュラとかは来れぬが、そのあぶらあげに限りがあるのなら致し方あるまい」


「仕上げには、今日のと少しかぶりますが。チーズリゾットの予定です!」


「「!!??」」


「チーちゃぁん! もう今からでも食べたいわよぉん!」


「ダメだよ。また明日!」



 なので、許可をいただいたのなら少し下準備。


 昆布を一晩水に浸けておくのと、お酒を使わないめんつゆの仕込みだが、鍋料理なのでヌーガスさんにいただいた昆布やカツオ節は全部使う。


 明日が楽しみ〜、と思いながら具材などをシェトラスさん達ときちんと取り揃えて一晩明けたら。



「白菜がないのは仕方ないので、他の野菜でカバーします!」



 夏に鍋、と言うのも汗だくになっちゃうから、前世だとやめてよとが言われそうだけども!


 ここは、異世界!


 なんだってありだ!


 オマケに、私の故郷のホムラだと、夏こそ熱いものをって辛い料理を食べる風習があるくらいだ。今日のはそこまで辛くはしないけど。



「えーっと……キノコが苦手な人はたしか」


「や、やめてくれ、チャロナくん!!」


「あ」



 昨夜選別してた時は、エイマーさんはいなかったけど。そう言えば、悠花さんもエイマーさんも苦手だったことを思い出した。


 なので、すぐさま貯蔵庫に戻したが。



「触れなくはないんだが。食べるのは無理だ!」


「はは。仕方ないね?」


「すみません……」



 とりあえず、キャベツをざく切り。にんじんを短冊切り。玉ねぎは入れずに、ジャガイモ、ナス、ピューレ状にしたトマト。


 トマト入りカレーは好評だし、旬の野菜だから入れることになった。



「ロティ、お米は炊けそう?」


『もうすぐでふぅううううう!!』



 締めのリゾットには、冷やご飯を使うので先に今回は炊いているのだ。



「油揚げは軽く湯通しをして、油抜きをして」



 ザルの中に入れた油揚げ達が見る見るうちに柔らかくなっていく。



「スナックのように見えるのに。わざわざふやかしてしまうのかい?」


「このまま食べる方法ももちろんあるんですが。煮込むと油っぽさと臭いがするのでそれを多少でもなくす方法なんです」


「ほう。なるほど?」



 油揚げピザとか餃子とか、もちろんその方法でも十分美味しいが、今回は煮込み料理。


 出来るだけ美味しい食べ方で喜んでもらいたいんです!

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