110-3.ドライカレー実食(マックス《悠花》視点)
*・*・*(マックス《
あ〜ん、あ〜〜ん!
もう、もう、もう!
テンション上げ上げだわ、ドライカレー!
味見した時も思ったけど、前世で食べ慣れていた市販のルゥよりも段違いに美味しくて。
ロティちゃんの炊飯器で炊いた米の美味しさは言うまでもなく。
「野菜ゴロゴロのもいいけどよー! みじん切りした野菜の甘味とちょっと感じるトマトの酸味がいい仕事してるぜ!」
「そうだねー? お肉もあるのは感じるけど、これ相当野菜入ってるおかげで、あんまり辛くなくて美味しい!」
「うめぇ!」
そして、一番カレーを気にしてたカイルと言えば?
「あ? 居ね……って!?」
とっくに食べ終わったのか、カウンターに向かっていきチーちゃんに皿を渡していたのだった。
「次は大盛りで頼む」
「か、かしこまりました……」
後ろから見ても、あのオーラはガチだわ!
レクターと目を合わせて、すぐにカイルの後ろに立って両肩を掴んだ。
「カーイールー?」
「おっ前、レクターに散々叱られたんだろ? 食い過ぎは厳禁だ!」
「……美味いから大丈夫だ」
「「どんな自信だよ!?」」
相変わらずチーちゃん本人にもだけど、パンや料理にもべた惚れなんだから!
たしかに、辛いのがてんでダメなカイルにも食べやすい辛さではあっても! 食べ過ぎで体調不良ってかっこ悪いでしょうが!
レクターも、あと一杯だけと念を押して、カイルの意欲を低下させていた。
『ほっほ。このカレーとやらは実に美味じゃ。主らが気にいるのも当然よのぉ?』
ウルクル様もおかわりしにきたのか、ラスティを伴ってやってきた。
「ね〜? 美味しいよね〜このカレーライス〜」
『うむ。辛さは控えめじゃが、野菜と肉の旨味が凝縮されておる。カイルキアが虜になるのも仕方ないじゃろうて』
「おかわり出来ましたー」
そして、チーちゃんはカイルの注文通りに大盛りのドライカレーを持ってきた!
「チーちゃん」
「ん? どうしたの、ゆ……マックスさん?」
「あいつのおかわりは、次回からも一杯のみね?」
「え、なんで?」
「あんたには知らせていなかったでしょうけど、あいつあんたが初日に作ったパンの食べ過ぎで倒れたのよ!」
「え、えぇええ!?」
レクターはチーちゃんを心配させないためか、カイルの食欲増加についてはどうも言わなかったようね?
食べるのは健康第一とも言うわよ?
けどね? はちきれんばかりに食べ過ぎるのはよくないわよ!?
『うむうむ。食べ過ぎはよくないのぉ。チャロナや、妾もおかわりを所望するぞぇ?』
「僕も大盛りで〜」
「あ、はーい」
チーちゃんは料理人として活きいきとしているけれど。カイルと結ばれて、王女に戻って婚約が正式なものになったらどうなっちゃうのかしら?
まだ短いとはいえ、この和やかな毎日が終わっちゃう?
それは、少し辛いわねぇ?
王宮の方に行くことにもしなったとしたら、チーちゃんは王族としての教育を受けさせる毎日になると思うわ。それは仕方ないにしても……ずっと一般人だったチーちゃんには苦痛ね。
どうなるのかしら?
「あ、マックスさん。ちょっといい?」
「はぁい?」
何かしら? とチーちゃんに呼ばれたので耳を貸した。
「カレーのPT、きっとすごい数値になると思うの。部屋で食べるんだけど、念のために一緒にいて欲しいの……」
「そうね……いいわよ?」
たしかに、ピザの時もすごい数値だったわね?
フィルド達が来るのはたしか明日。
明日何かあるかはわかんないけど、その前段階でチーちゃんの経験値がたまって、久しぶりにレベルアップがあってもおかしくはない。
ロティちゃんの経験値の方が、ちょっと少ないって言ってたし。レイも一緒に呼んじゃいましょうか?
とりあえず、あたしもおかわりしてドライカレーを堪能するのだった。
エイマーにはほどほどにとは言われたけどぉ、ワインともめちゃくちゃ合ったわぁああああ!!!!!
「すげぇな! カレーパンでも美味いと思ったが。この米っつーのにもよく合うぜ!」
「うんうん。この前のオムライスも美味しかったなあ?」
「なんだそりゃ?」
「米にケチャップを絡めて、卵で巻いた料理だ。野営じゃ無理だったな?」
「ほー。それも……姫様やお前さんの転生前の記憶がか?」
「そーそー。具材やソースを変えれば、色々出来たな?」
この間のたんぽぽオムライスだけでも、トマトソース以外に明太クリームソースとかも合うわぁ。ライスはケチャップじゃなくて、和風仕立てとか。
けど、明太子以前にタラコがないのよね、この世界。
それにいくらチート料理技術があるチーちゃんでも明太子を手作りは出来ないはずだわ。
「おーい、チャロナぁ!」
大声でチーちゃんを呼んだのは、管理棟のヌーガスだった。手にはなんか麻袋を持ってきてたけど。
「あ、ヌーガスさん!」
「やーっと、あんたの念願の品を手に入れたよ! 実は余った豆腐を揚げたりする方法が、あたしの故郷で出回っていてね? 是非チャロナに見せたいと思って、先にこっちを仕入れたさね?」
「わぁ!」
あら、何か頼んでたのかしら? とカレーを食べ終わってからあたしも覗き込んだら。
袋の中に入っていたのは、懐かしい油揚げだったわ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます