【記念SS】嘆く王様
*・*・*(アインズバック視点)
XXXX年
ああ、アクシア。
結局見舞いとアイリーンの祝賀会の日以降……あの子に会えていない。
いや、会えないのは仕方がないのだが。もう少し……もう少し頻繁に会いに行ってもいいのではと思ってしまう。
だって、俺は父親なんだぞ!?
けれど、俺は王としての政務に明け暮れる日々を過ごさねばならないのでそうもいかない。
XXXX年夏歌月24日
会いに行きたい会いに行きたい
会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい
俺の娘に会いたい!
けど、会いに行けない……仕事が増えてく一方だ。
XXXX年夏歌月28日
マンシェリーに会いたい
マンシェリーに会いたい
マンシェリーに会いたい
マンシェリーに会いたい
マンシェリーに会いたい
『会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい〜〜』
『陛下、お静かに!』
『いいじゃないか、カイザー! お前は時々でもあの子に会いに行けるんだから!』
『陛下からの勅命ゆえですぞ?』
『そうは言ったが、それはそれだ!』
日に日に、マンシェリーを恋しく思う気持ちが募っていくばかり。
それは親として、一人の人間として。
今のあの子を知りたい。
俺と言葉を交わした程度でも、ただぬいぐるみを作ってやったおじさんでしかない。
だからこそ、もっとあの子と関わりたいのに。
肩書きがそれをよしとしないのだ。
嘆かわしい!
XXXX年
なんと、愚弟の計らいによりマンシェリーに会いに行くことが出来た!
嬉しくて嬉しくて、出来上がって間もないサイードベアのぬいぐるみを簡単に包装してから、奴が使えるようになったばかりの転移でカイルキアの屋敷に向かった。
そこで、祝賀会以来出会っていなかった愛娘は今日も元気に料理を作っていたようで。
ぬいぐるみを渡した時には、またアクシアによく似た輝かんばかりの笑顔で受け取ってくれた。
娘とわかっていても、思わず高鳴りが止まらないくらいの衝撃を受けたが。喜んでもらえて何よりだった。
そして、デュファンのわがままとはいえ、あの子の手料理を久しぶりに食べれたのだが。
美味すぎて、頬が蕩けてしまいそうになった。
『美味しかったね、兄さん』
『デュファン……あの子の手料理を食べたいためだけに連れてきたのか?』
『あの子の手料理はクセになるし、いつでも食べたいと思うよ。義母上にも、そろそろ会いたいと言われたしね?』
『先先代公爵夫人が、か』
『僕らの知る限りじゃ、あの方の料理が王宮以上だったしね』
アクシアもだが、君の叔母君であるあの公爵夫人も、実に料理上手だった。
彼女の生前では、縁戚以外に何か特別な理由があったのかと思ってしまうくらい。
俺も久しぶりにあの方に会いに行こう。
マンシェリーの父親として。
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