38-1.進化した変換(チェンジ)達






 *・*・*








 まあ、本当に色々あった昨日は昨日だけど。


 それはそれ、これはこれ。


 また今日からは、新しい一日だ。


 ただ、昨日はステータスでしか確認していなかったロティの進化。


 それが、ずっと小型だったのが、記述にもあったように大幅なリニューアルがされてるのに驚いた。


 早朝、いつものように生地を仕込もうとしたら。



変換チェンジ撹拌器ミキサー!』



 と、ロティが変身したら、煙がいつも以上に立ち上がり、出てきた時には。


 調理台には大き過ぎるミキサーボウルと、撹拌器のセットのご登場!


 デカ過ぎて、流石にロティに一度戻ってもらってから床で変身してもらった。



「すごいな? これが進化した結果??」


「だとすると、ロティちゃんの他の変身もいつものとはいかないかもしれないね?」


「ですよね……」



 まさかここまでとは思わず、以前のような小型化は出来ないかとロティに聞くと。そこは、あとレベルが5上がれば出来なくもないんだって。


 それまでは、この大型タイプに慣れなくちゃいけないってことか。


 まあ、何故か私が選択しちゃったんだから仕方ないっちゃ仕方ない。



(でも、大型でも使いやすいわ……)



 生地を出す時の、金属製のミキサーボウルもそんなに重みを感じず。


 ざっと10キロ以上に拵えても、私の細腕でも余裕で持ち上げられたり。


 銀製器具シルバーアイテムのボウル達も、いつのまにか伸縮機能がついたのか。出した途端、望んでいる大きさに変化してたりと。


 全体的な進化に、私は舌を巻かないわけがない。


 これは、やっぱり一度悠花ゆうかさんもだけど、カイルキア様にも見ていただかなくちゃ。


 シェトラスさんに確認をしたら、今日のお昼の休憩時間よりも、午前のご飯タイムを多めにとっていいことになったので。


 その時間帯に、出来ればお二人に確認を取ろう。


 そうして、他も大きくなっても使いやすい、ロティの変換チェンジでいつも以上の量が確保出来。


 朝食タイムに差し掛かって、カイルキア様がいらっしゃってから、私は単独で打ち明けに行った。



「…………レベルが上がったが、異常に進化しただと?」


「はい。パーティーの最中になんですが、私もロティもその項目については覚えていなくて」


「今、ロティはその状態か?」


「あ、はい。パンを焼いていますが……」



 ただ、ちょっと。


 以前よりもバージョンアップした出来上がりまでの歌を聞かれるのが少し恥ずかしい。


 でも、見ていただかないわけにはいかないので、来てもらったら。




『おいちい、おいちい~ぱ~んぅ。

 おいちいおいちい~ぱ~~んぅう。


 出来上がり~まで、く~りゅくりゅ~

 出来上がり~まで、くりゅ~くりゅくりゅ~っ


 おいち〜おいち〜パンちゃちが〜

 おいちく〜おいちく〜焼き上がりまふ〜


 LETS おいち~おいち~ぱ~んが、出来まふ~よ~』



 ほんとに、ちょ〜っと歌詞が変わっただけだけど。


 ちょっとテンションが高いロティの歌だけど。


 カイルキア様、最初の時のように、ご対面すると動かなくなったかと思いきや。



「…………これは。厨房が手狭になってしまうな。改装すべきか」



 私、おバカさんでした。


 カイルキア様は旦那様らしく、ちゃんと状況を把握していたようです。



「でも、カイル様。あとレベル5上がれば、いつも通りでいけますよ?」


「そうだとしても。孤児院に作る用になどで、大型の方がいいんじゃないか? 使い勝手もそう変わらないのであれば……シェトラス、お前はどうだ?」


「そうですね。……効率の良さを優先するのであれば、改装工事もやぶさかではありませんな。実際、作る時間も少し短くすみましたし」


「であれば。フィーガスを呼んで、空間を少し弄ってもらうか」


「え、フィーガスさんにですか?」


「事情も知っていて、かつチャロナに料理を習うのであれば普通の魔法師は呼べまい」


「なるほど」



 それならばしょうがないと言えばしょうがない?


 そうして、朝食タイムの少し後にフィーガスさんは二日酔いの状態でご来訪。


 けど、ロティの変換チェンジを見るなり、顔色が変わりました。



「なんじゃこりゃ。聞いてはいたが、普通の錬金術にもねーぞ?」


「だーから、チーちゃんのは異能ギフトなのよん」


「違いねぇなぁ?」



 朝食タイムの時に、悠花さんにも事情を話したので今同席してもらってます。


 驚いた事で、すっかり悪酔いが覚めたフィーガスさんは。全部の変換チェンジを見せてくれと言われたので、ロティに順番に変身してもらい。


 巻尺も使わずに目測で大体の大きさを測り終えてから。


 全員を自分よりも後ろに立たせて。


 前に両手をかざしてから、さっと床まで同時に降ろした。



『(`・ω・´)ふぉおぉおお』


「嘘ぉお!?」



 何が起こったかと言うと。


 一瞬だけ、白く光ったかと思えば。


 光がなくなったと同時に、空間だけを弄ったのか本当に広くなっていて。


 あと、ロティの変換チェンジに使いやすいところだけ、凹みとか空間が広々となっていたのだった。



『でっふぅ、でっふぅ! おじしゃんありがとーでふぅう』


「俺はまだおにーさんだ!」


『あにぇ?』



 ロティももちろん大喜びだったが、フィーガスさんをおじさん呼びにするくらいお茶目なとこが出て、軽く小突かれていました。



「んじゃ。俺はとりあえず帰るぜ? 明日にはまた来るから」


「あら、チーちゃんの新作パンあるんだから。待てばいいじゃなーい?」


「おっ前と違ってこっちは役職持ちだ。あと、明日はいよいよ嬢ちゃんが授賞されるんだろ? それまでに仕事終わらせてーんだよ」


「そうだったわねぇ」


「じゃ、じゃあ。明日に残しておきますね?」


「おー」



 私も自分の事をすっかり忘れかけてたが、そこはそこと思い直して。


 とりあえず、もう一度ロティを全種類に変換チェンジさせてからサイズぴったり!と確認出来た。


 すぐ帰られちゃったのは、この自信もあったんだろうなぁ。


 何はともあれ、フィーガスさんに感謝感謝です!


 絶対、美味しいウィンナーロール作らなくっちゃ!

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