35-5.覚えてない変化
*・*・*
死にはしなかったけど、いや〜〜すっごくびっくりした。
サイラ君もわざとじゃないだろうけど、酔った勢いじゃ仕方ないしね?
私が食べ終えてから注意しようにも、先に
「だ……大丈夫? チャロナちゃん?」
「うん、まあ大丈夫」
目一杯って程じゃないけど、1ピースくらいまるごと詰め込まれたので顎が少し疲れた程度。
レベルアップしたはずなのに、天の声のアナウンスを聞いた記憶がおぼろげだ。
けど、今この場でステータスを確かめるわけにはいかないから。部屋に戻ってからロティと確かめるしかない。
そのロティが、さっきから首にぎゅっと抱きつく以外そんなにも慌ててないし。
『大丈夫でふか大丈夫でふか、ご主人様ぁ〜〜!』
「うん、大丈夫だから。落ち着いて?」
絞め殺されはしないけど、やっぱ力加減されてても苦しい事に変わりはない。
無理矢理引き剥がして、腕の中にぎゅっと抱っこしてあげると、私の胸にすりすりしてきた。
『でっふ〜でっふ〜! ロティ、ちょっぴちお腹空いたでふ〜』
「じゃあ……私何か取ってくる」
「え、いいよいいよ。エピアちゃんは、今日は祝われる側なんだからのんびりしてて」
「そ、そう?」
「そうそう」
それに、ロティスタミナ切れにしてはちょっとおかしいと思ったので残り少なくなってきた料理を目にしてから厨房に戻った。
そして、シェトラスさんと戻ってたレイ君、フィルドさんに一度目配せしてから個室へGO!
『ご主人様ぁ〜、レベルアップしてりゅでふ〜』
「やっぱり? けど、天の声聞いた覚えがないのよ」
『ロティも覚えてにゃいでふ』
多少お腹が空いたのは本当だったようだが、まだ我慢出来る範囲内らしいのでお互いにレベルアップの事を確かめ合う。
けれど、事実はどちらも記憶のどこにも存在してなかった。
ひとまず、ロティにステータスを出してもらう事にしたが。
◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯
【
《所有者》チャロナ=マンシェリー(16)
《レベル》30(次までは、残り21550PT)
《ナビレベル》3(次までは、残り345000PT》
[スタミナ]やや減少(178/200)
《
・無限∞収納棚
・ナビ
→ホイッパー三種
→ミキサー機能
→トースター
→オーブンに発酵機能・奥行き拡張
→
→揚げ物フライヤー
・
・タイマーセット同時機能(レベル8)
・複合(レベル2)
★
《特典》
・レシピ集データノート
【レシピ】
〈バターロール〉〈コカトリスの卵サラダ〉〈いちごジャム〉〈カッテージチーズ〉〈山形食パン〉〈ラタトゥイユ〉〈チョココロネ〉〈コーンマヨパン〉〈コーンパン〉…………
………………
…………
〈クオーターピザ〉〈タルトタタン〉
・
☆ナビゲーターシステムの機能、『
・分離を選択しなかったため、ナビゲーターシステム本体が変身することは変わらず
・代わりに、
・今までよりもさらに業務用に近い機能となります
・使い方はこれまでと変わりありません。同様に、コロンの振り分けも
◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯
「(・д・)ポカーン」
って、顔文字くらいの表情になっててもおかしくはない。
だってだって、いつの間にか新機能を選択してたのと。
あり得ないくらいの、コロンの貯まり具合に口が開いてもしょうがない。
「な……なんでなんで?」
『ロティもわきゃんないでふぅ! けどけど、しゅべてここに書いてありゅとーりでふぅ!』
「う、うーん? 明日あたり、
カイルキア様に報告しても、これだけじゃよくわからないし?
あ、けど。明日の休憩時間って、メイミーさんとのマナーレッスンだった。
(ん〜〜、けど大事なことだし。メイミーさんにもきちんと言おう)
最近あんまり一緒になれてなくても、メイミーさんも秘密を知ってもらってるからね?
『ご主人様ぁ〜、どうちまふ?』
「うーん。お腹の空き具合は微妙だけど、シェトラスさんにお仕事ないかどうか聞いてから戻ろっか?」
『でっふ!』
けど、厨房に戻っても後片付けがほとんどだったので私達は食べてきていいと言われ。
なので、お言葉に甘えて食堂側に戻ると、いきなりカレリアさんの金髪が目に飛び込んできた。
くらいに、迫られた!
「チャロナちゃん、チャロナちゃん! あんなにも美味しいケーキどうやって作るの!? 教えて教えて!」
そして、ロティは頭に乗ってたから巻き込まれなかったが、カレリアさんが勢いで私に抱きついてきて。
すっごく柔らかな体つきにちょっとだけどきっとしちゃった。胸だけじゃなく、他もふんわふわだ。羨ましい柔らかさである。
は、さておき。タルトタタンの作り方か。
炊飯器じゃないとなると……。
「えと……簡単な作り方と色々ありますが」
「どんなのぉ!?」
少し抱きつくのを緩めてくださると、今度は好奇心を輝かせた瞳とぶつかる。
これは、是が非でも聞き出したいのだろう。
それくらい、あのケーキが気に入ってしまったのかな?
「おい、カーミィ。おっ前、自分の料理の腕前わかってて聞くのか?」
ただ、言う前にフィーガスさんが割り込んできて彼女を私から引き剥がした。
「パンどころか、スープもろくに作れねーだろ? 錬成の方も爆破癖治ってねーし」
「うう……うう……けど、フィーさんに作ってあげたいなぁって」
「まあ、この嬢ちゃんは特別だ。色々とな?」
「…………はぁーい」
この展開と、悠花さんに前聞いたカレリアさんの情報と照らし合わせると。
まさか、この可愛らしい女性は、料理音痴もだがぶきっちょさんなのかも?
(けど、好きな人に手料理食べてもらいたい気持ちはわかるなぁ……)
私の場合は日常生活の一部になってるけれど。
「…………あ、私の故郷のお饅頭でしたら簡単に作れますよ? お料理が苦手でも、そこから始めれば」
「ほ、ほんと!?」
「チャロナの嬢ちゃん、無理しなくていいんだぜ?」
「いいえ、フィーガスさん。女性は好きな人のために作ってあげたい気持ちは大切にすべきです。私のケーキを賞賛してくださったのは嬉しいですが、手作りを否定するのはダメですよ?」
むしろ、尊重してあげなきゃ。
ウェディングケーキの依頼は別だが、これはこれ。
多少の技術を伝えるくらいなら、孤児院で先に済ませてあるから問題はない。
それにおそらく。
カレリアさんには、私の前世の事を含めて
カイルキア様達の、元パーティーメンバーの一人だもの。
ちょっと勢いよく言ってみると、フィーガスさんは髪を軽くかいてから私の耳元まで近寄ってきた。
「卒倒もんだぞ? マックスに聞いてねーのかよ」
「聞いてはいませんが、不器用さんなら矯正は早いうちがいいかと」
「まあ、お前さんならいいが…………わーった。今日明日は無理だが、日を置いて俺とカーミィが教わりに来る。カイル、ちぃっと話がある!」
「わーい!」
お料理教室決定?となったら、フィーガスさんはまたカレリアさんを引きずるように連れてって、カイルキア様のところに行ってしまった。
「チャロナくん、大丈夫かい? カレリアは、相当に要領が悪いんだが……」
「え、そんなに?」
一部始終を見てたエイマーさんですら、心配をかけると言うことは。
私の予想通りじゃ済まないかもしれない。
けど、引き受けたからには全力を尽くそう。
「それと、まもなくお開きになるだろうが。メイミーの提案はどうしようか?」
「うーん、パジャマパーティーですよね? お片づけもありますし……せめて、お風呂でご一緒とかは?」
「それが妥当だね?」
なのでなので、第二回?女子会はお風呂でのんびりトークに決定しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます