第3話 夜

 夜。噂通り、その町は変わり果てていた。


 自分の意思で動くことのできる人形たちが、外に出ている人たちを襲っているのだ。


 家の外に出てしまった人たちの悲鳴が聞こえる。


「くっ……!」


 カバンからロイドを取り出し、走り出す。操る糸は、すでに手に付いている。


 私が敵意を向けたのを感じたのか、人形たちがロイドを取り囲む。


 ロイドの後ろから一つの人形が剣を振りかぶる。私は、人差し指でロイドを剣の軌道から外し、その人形に向けてロイドに隠しもたせているナイフを投げる。


 その反応を見てか、前にいる人形何匹かが横列になって襲いかかる!


 指を複雑に動かし、敵の攻撃に当たらないように行動をしながら避けていく。


 ロイドには色々な仕掛けをしてあるから遅れをとることはないだろう。


「なんだ、あいつら!」


 隣の通りで声がする。人間だ。


 どうやら戦っているらしい。剣が混じり合う音がする。


 同じ敵を持つ人たちなのだ。協力したほうがいいだろう。ロイドで、その通りへの道を開き私は足を踏み出した。

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