第1話 旅

 私は、身支度を済ませた。


 彼がいなくなってから、支度をしてきた。旅に出れば人と会うことができる。そうすれば、彼が私を置いて行った理由がわかるかもしれない。


 彼は、私が旅に出るときに困らないようにしてくれていたらしい。


 人形である私の関節部分を隠しきれる服装がクローゼットにあった。

 人の社会の常識は前もって教えられていた。

 そして、護身用の………


「ロイド……。」


 人形である。私が糸を使って操ることができ、攻撃能力も高い。


 これは私が作った人形だ。作り方も教えられていた。


「準備はこれで終わりかな…」


 家を出ようとして、忘れ物に気づく。


 それは、彼からの最後の贈り物。


「くまさん…。」


 彼のいない私の 心の拠り所だった。


「一緒に行こうね。」


 小屋を出て、鍵をかける。


 さて、旅を始めよう。彼のいないこの世界での、私の生きる意味を探しに。彼の心を知るために。

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