『ヘウレーカ!』はもう古臭い!


 僕が毎週、楽しみにしている番組に『ヘウレーカ!』がある。科学関係のいろい

な話題があれこれ詰まっていて、聞くだけで楽しくなるのだ。

 しかし、今週の『ヘウレーカ!』にはがっくりきた。この回のテーマは人工知能と仮想現実なのだが、まったく僕の期待したような内容ではなかったからだ。 

 まず人工知能。画面に現われたのは単純な人工知能ぐらいしか持ってなさそうなロボット。なんか十年ぐらい昔の番組で見た覚えがあるぞ。登場した研究者が両手を開いたり閉じたりという玩具みたいなパフォーマンスを見せる。もしかしたらロボットを十年ぐらい新しくしてない? 

 おまけに次の仮想現実のパフォーマンスがひどかった。現代ではそれこそ『あつまれ動物の森』のように、プレイヤーが動物のキャラクターになりきって遊ぶなんてごく当たり前のことなのに。何か十年のゲームを見せられたようだった。 

 こんな時に参考になるのは僕の小説だ(笑)。たとえば『プロジェクトぴあの』ではこういうシーンを書いた。


  画面に三頭身のピンクの髪の妖精が現われた。通信用アプリのひとつ、アバタートークだ。相手の画面に映るアニメーションのキャラクターが、こっちが喋る言葉に合わせて口を動かし、表情を変える。キャラクターのデザインも、何十億通りの組み合わせの中から、自分のイメージに合ったものを選ぶことができる。

『ごめんなさい、すばるさん。今、お忙しいですか』 

 ピンクの髪の妖精が、小さい画面の中で、ぴあのの声で喋っていた。当然、彼女のスマホには、ボクのアバター ゴスロリ・ファッションで三頭身の魔法少女が映っ

ているはずだ。


 僕はこのシーンを、今から数年以内に実現するものとして書いた。誰でもこの程度のことは思いつくはずだ。だいたいなぜロボットを使う必要があるのだ。アプリを使う方がずっと簡単で安上がりなのに。

 だから未来を知りたければ、科学者に相談する必要はない。SFを読めばいい。 

 ところで僕の小説「ミラーガール」(『アイの物語』に収録)には、 【ピープホール型モニター】というものが出てくる。そんじょそこらのモニターと違い、完璧な3D映像を創る装置。この小説を書いた時(1999年に)にはまだ架空の技術だったが、今ならもうできるかも。作りたい人は作ってもいいですよ。僕も著作権放棄しますから(笑)。

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