山本弘のリハビリ日記

『プロジェクトぴあの』文庫版発売！

　僕の最近作『プロジェクトぴあの』が文庫版が発売されることになりました。前はＰＨＰ出版から出たのだけど、今回は老舗の早川書房！　三月二十日頃の予定。

　今回は推薦者に『この世界の片隅の』の片渕須直監督を依頼。片渕監督と『ＭＭ9』との関係を知っていれば納得できるはず。「そんな科学なんて覆せ」というコピーには心が震えました。

　解説者には野尻抱介氏を起用、これがまた熱い解説でした。とにかく僕が「疑似科学批判の急先鋒に立つ」と持ち上げ、「自分が信じたいことほど疑ってかかる」と容赦ない。ああ、この『プロジェクトぴあの』の中でも、あからさまな疑似科学を散々に批判してるからなあ（笑）。第二章に出てくる「プロフェッサー・シオヌマ」とか。（もちろんモデルはあの人。本当にテレビで「真空エネルギー抽出装置」というものを披露していた）

　その番組を見てるうち、「ゲストで出てくるアイドルの女の子がすごい大天才で、この発明家の科学的間違いを指摘しはじめたら面白い」と考えついたのがきっかけです。　

　まあ、現実にはぴあのみたいな女の子はいなくて、こんなニセ科学がはびこっちゃうんですけどね。

　また、こうしたニセ科学と並行に、現実の科学も描きます。

　特に僕が力を入れたのは、2031年の地球を襲う太陽の異変……スーパーフレアについてです。

　ＳＦじゃなくて本当に起きること。

　確率が低いとはいえ、つい数週間後には起こるかもしれない。でも、それが起きる可能性を政府も電力会社もまったく考えてなんかいない。だから僕は本気で心配しています。東日本大震災だって「めったに起きない」と言われてたんですから。

　そうそう、この話は『地球移動作戦』の前日談にもなってます。地球移動作戦で活躍したピアノ・ドライブが発明されるまでのエピソード。でも『地球移動作戦』を読んでなくても問題ありません。これだけで完結してますから。