『キルミーヒールミー』のこと

 このところいろんなドラマをテレビで見ているのだけど、中でも最近、僕がはまったのは韓国製のドラマ『キルミーヒールミー』だった。普段まったく韓流ドラマなんか見ないんだけど(大ヒットした『冬のソナタ』すら見ていなかったぐらい)、これは別。というのも、解離性同一性障害、いわゆる多重人格のキャラクターを主人公にした、ただの恋愛ものじゃないと知ったからだ(もちろん恋愛要素もあるんだけど)。

 主人公のチャ・ドヒョンは大企業の御曹司。しかし多重人格であり、何かのはずみでキャラクターが入れ替わることがよくある。特に問題なのはシン・セギという人格で、チャ・ドヒョンは温厚な性格なんだけど、シン・セギはやたら怒りっぽくってトラブルを引き起こす。

 しかもチャが若い精神科医のオ・リジンと愛し合うになるんだけど、シンのほうもオ・リジンを愛してしまい、一人で同じ女性を取り合うのだ。「俺の女に手を出しやがったら承知しねえ」とか言って。こんな三角関係あるの!(驚)。

 他にもチャの中にはいろんな人格が眠っていて、騒ぎを起こす。中でもアン・ヨナという女性人格が厄介で、オ・リジンの兄のオ・リオンに惚れてしまい、男同士で猛烈なアタックをかけまくる。普段はチャを主人公にしたシリアスなドラマなんだけど、アン・ヨナが出てくるとドタバタコメディに早変わり(笑)。ひとつのドラマの中で、シリアスからギャグまでやってしまうのだ。もちろん、謎に包まれたチャの子供時代の記憶を探る過程もミステリアスでいい感じだ。

 この前、最終回があったんだけど、分裂していたチャの記憶が戻ってくるにつれ、だんだんと一つ人格に統一されてゆくのが見事。特にアン・ヨナが消えてゆくシーンでオ・リジンが涙ぐむのにはジーンときた。いろいろトラブルメイカーだったけど、やっぱり思い出深いよなあアン・ヨナ。

 もちろん、本物の解離性同一性障害はこんな簡単に直るものじゃないんだろうけど。


 思ったのは多重人格のキャラクターというアイデアも、まだまだいろんな使い道があるのではということ。もっと日本の脚本家も頑張って欲しい。

 ちなみに『キルミーヒールミー』は韓国では演技賞、ドラマ賞などの多くの賞を受賞しているのだそうだ。道理で。



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