「私が正しい」と信じることはヤバい

 このブログではあまりみなさんのご意見に対して、反論なんかしたくないのだけ

ど、この前のジャラルさんの投稿に関しては黙っていられなくなった。


 ジャラルさん、あなたは僕が「くだらない陰謀論」が大嫌いだってことは知ってましたか?

 ええ、本当にそういうのが顔が真っ赤になるほど嫌いなんです。『ニセ科学を10倍楽しむ本』(ちくま文庫)で取り上げたアポロ陰謀説や9・11テロ陰謀説などはその典型です。他にも東日本大震災での地球深部探査船「ちきゅう」陰謀説、HAARP陰謀説、「震災後にレイプが多発した」という説なんかもその例です。詳しくはASIOS編の『検証 大震災の予言・陰謀論』(文芸社)をお読みください。

 こうしたデマがなぜ有害かというと、まともな科学を陰謀論で貶め、科学者を不当にバカにしていることと、善意の第三者を悪人であるかのように装って傷つけていることです。


 さて、僕は中国という国が大嫌いです。『去年はいい年になるだろう』で中国や北朝鮮をひどい目に合わせたぐらいです(笑)。だからあなたが「中国は嫌いだ」と個人的感想をいうのなら何も言いません。僕もたぶん同意見でしょうから。

 でも、地球環境の問題ではこういう論点をわきに置いておかなくてはいけないと思います。というのも、環境問題はすべての国、あらゆる人にとっての問題だと思うからです。特定の国の人を悪者にしたり、一部の人間だけを糾弾することで、正義だと思い込んではいけない。それは「正義」に反することです。

 さらに、無関係の人を巻き込み、彼らを陰謀に加担しているかのように語ることは、はっきり「悪」と呼ぶべきです。 

 僕は断固として悪には加担したくない。


 あなたは中国政府がグレタさんを操っている具体的な証拠をお持ちなのですか? あくまで「具体的な証拠」ですよ。「私はなんとなくそう思う」とかいうのではなく。

 ないでしょう?

 それを「陰謀論」「陰謀説」というのです。

 先日の朝日新聞によれば、グレタさんの言動は人民日報でも報じられているそうです。彼女が香港のデモを応援しているために、中国政府に「危険なPR行為だ」と攻撃されているとか。

 今やグレタさんの有名人となると、あらゆるメディアに取り上げられています。誰かが思いつきで唱えた陰謀説なんて軽く吹き飛ばしてしまえるほどに。


 人はたくさんの陰謀説に惹かれます。

 特に気をつけなくてはいけないのは、「自分が正しい」と信じさせてくれる説です。よく考えてみると、実は正しいという具体的な証拠などどこにもないのに。僕たちは知性を持ってそれに立ち向かわなくてはいけないと思います。どれほど自分の耳に心地よく響こうと。

 血液型性格判断のように。






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