アスペルガー症候群と「非アスペの人」たち
最近、ニュースでしばしば見かけるグレタ・トゥーンベリさんの話題。実は最近まで彼女のことをよく知らなかったのだが、つい先日知ったところでは、彼女はアスペルガー症候群なのだそうだ。
それで僕は「ああ、なるほど!」と合点がいった。これまで彼女の重ねてきた発言の数々。歯に衣着せぬ一見して無礼なよう見えるのだが、それなのに多くの人に支持されているのが何故なのか。
支持者たちはみんな彼女がアスペルガー症候群だと知っているのだ。それでこういう喋り方が彼女にとって当然なのだと分かっている。
ああ、何て優しい人たち!
アスペルガー症候群の特徴のひとつは、複雑なことを考えられないことだ。難しいから考えられないわけではない。アスペルガー症候群の人の知能は普通人と大差ないことが分かっている。ただ、言ってはいけないことを言ってしまうことが多い。誰かの気にしている欠点をずばりと指摘したりする。
そのためにアスペルガー症候群の人は嫌われる。
でも、それは必ずしも欠点とは言えない。正直すぎるのだ。
たとえば嘘ばっかり言っている奴がいたとする。しかし、ほとんどの人はそれを見過ごす。「誰でも嘘ぐらいつくよ」と。
でもアスペルガー症候群の人は見過ごせない。ちょっとでも間違いがあるとそれを指摘する。
それで日本では「アスペ」と呼んで罵倒する連中がいる。
グレタさんが環境問題について熱心に語るのも、アスペルガー症候群が理由だろう。人類はみんな環境問題に無関係でいられない。CO2の削減に今から本格的に取り組まないと、人類の未来はないのだから。
でも、その懸命の訴えに背を向ける者たちがいる。
たとえばトランプ大統領。地球温暖化ガスの削減に無関心。それどころか彼女を揶揄するような言葉を飛ばす。何やってんだアメリカ大統領、16歳の女の子に(笑)。というか明らかにアスペルガー症候群について勉強してないよね? 知ってたら言葉を選ぶだろうから。
彼女の訴えは本気だと僕は思う。このまま手をこまねいていれば、地球の危機なんだから。
環境問題に限らない。今の地球には明らかにまずい問題、手をこまねいていられない問題が多すぎる。
身近な話題で言うなら「桜を見る会」問題。誰か一人でも「これで問題はすべて解決した」と思ってる人間なんているの?
与党の第一党が、国民を裏切っていたなんて、大ごとのはずだ。しかしこのスキャンダルを追求しようとする声は小さい。
国民の大多数はそれを「たいしたことではない」と思っているようだ。トランプ大統領が地球温暖化を「たいしたではない」と思っているように。
僕はむしろアスペルガー症候群でない普通人を「非アスペ」と呼んでバカにすべきだと思う。
地球温暖化になんか興味がなく、いくら二酸化炭素を排出しても心が痛まない人たち。あるいは与党が我々国民を裏切っても平気な人たち。あと、これまでずっと耐え続けてきた、「水から伝言」や「江戸しぐさ」や血液型性格判断のようなニセ科学を信じる人たち。
もちろん、常に怒り続けている必要はない。ちょっとした間違いぐらいなら、笑って見過ごすのも必要だろう。
でも大きすぎて見過ごせない問題もある。
だから僕らは、グレタさんのようなアスペルガー症候群の人に、「いつ怒るべきか」を学ぶ必要があると思う。
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