『BISビブリオバトル部』を現実のヒントに
先日、NHK(関西)で放映された『かんさい熱視線』という番組を見た。
番組のテーマは「ブラック校則」。小中学校の校則には厳しすぎるものがあることは以前から知っていたが、近年それが厳しさを増しているという。学校の休み時間に生徒が自由に話し合うのを禁じたりしている学校もあるという。
前から疑問に思っていたのだが、茶髪が禁じられているという理由で、黒髪を生徒に強制するってどういうことなのか。生徒の中には(混血だったりして)生まれつき髪の色が茶髪や金髪の子供もいるだろうに。その場合も髪を黒く染めなくちゃいけないのか。
もっと疑問なのは、女子生徒の下着の色は黒でないといけないという校則である。もし校則違反者がいたとしたら、どうやって取り締まるのだろうか。先生がスカートの中を覗いて下着の色をチェックするのだろうか。
そうした学校側の厳しすぎるしめつけのせいで、自殺者が出ているという。まさに「ブラック校則」。そんなことをして学校の勉強の役に立つのか。
番組内では、そうしたブラック校則を生徒に押しつけている担任の側の事情も紹介していた。生徒の数が多いと、担任の数が足りず、生徒に満足な教育を受けさせられない。そこで校則を厳しくし、ちょっとした校則破りでも厳しく罰することで、生徒をがんじがらめにするのだという。
確かに生徒の自由を束縛すれば、それだけ自由に行動できる生徒も減るだろう。データの上ではそれでいいのだろうが、その代償が生徒の生命では、あまりに過酷なやり方ではないのか。
校則なんて必要ないと、僕は思う。
げんに校則がなくてもちゃんと機能している学校は存在する。
僕の小説『BISビブリオバトル部』に登場するBIS(美心国際学園)。実は娘を通わせていたインターナショナル・スクールがモデルである。本当にある学校なのだ。
本当にこんな自由な学校だったよ。制服がない。校則がない。始業のチャイムがない。入学式はフリーダム。髪を染めるのは自由。スマホなどの通信機器も持ち込み自由。カードゲームやボードゲームも持ち込み自由……などなど、小説の中で描写したそのまんまである。冗談みたいな〈ワンダー・ウィーク〉というイベントも、(実際とは名前は変えてあるものの)本当にあるものだ。現実と違うのはビブリオバトル部がないことぐらい(笑)。
こんなにフリーダムな学校であっても、秩序はちゃんと保たれていた。娘から聞いた話では、大きなトラブルも起きなかったらしい。
小説では僕は、こう言わせている。
「過激なファッションに走るのは、抑圧や画一化に対する反抗の意味が大きいんじゃないでしょうか? 我が校では、生徒の自主性を尊重していて、生徒を縛る規則は最小限です。だから逆に、体制に反抗しようという欲求が生まれにくいんだと思います」
(中略)
「法律とか校則とか、明文化された規則があるからこそ、社会に秩序が生まれるんじゃないですか? 規則のない世界で、安定が保たれるとは思えません」
「げんに保たれてますが? 開校以来、約二〇年も」
だから僕は自信を持って言う。校則なんていらないと。
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