脳梗塞という病気について



 このブログでは僕を苦しめている脳梗塞について、あまり詳しく話していなかったと思う。それが僕のような創作者にとって、どれほど致命的な病気なのか。死ぬほど苦しいということも。

 死ぬほど苦しいと書いたけど、べつに日常生活の中で痛みを味わうじゃない。確かに歩行はずっと不自由のままだし、食事の際にも妻や娘には迷惑をかけるけど、そんなに苦しいわけじゃない。


 僕が苦しいのは、小説を書けないことだ。いや、少しなら(このブログで書いているように)書けるのだが、これまでのようなペースではとても書けない。

 何で書けないかというと、文字の配列を忘れているからだ。

 文字を忘れるというと、そそっかしい人なら「記憶喪失」と思うかもしれない。それは違う。僕の記憶は正常だ。少なくとも記憶のどこかに欠落があるようには思えない。そんなことがあるなら、とっくに気がついているはずだ。

 だが、文字を忘れている。

 たとえば「脳梗塞」という言葉だ。どんな病気であるかは知っている。文字は書けないが(そもそも何も見ずに「脳梗塞」と書ける人間の方が少数派だろう)、ポメラの力を借りれば打つことはできる。

 そうそう「徴用工」「独白録」もポメラの力で書けるぞ(笑)。少なくとも「微用工」「独自録」なんて誤字を平然と書く奴よりかは、僕は頭がいい。

 しかし「脳梗塞」という字をとっさに書けない。



 厄介なのは、『BISビブリオバトル部』のキャラクターの名前を思い出せないことが多いことだ。ヒロインの「伏木空」ぐらいなら分かる。「埋火武人」「輿水銀」あたりも。だが「菊地明日香」とかは「あすか」をどう書いていたか、すぐに思い出せない。「か」は「歌」だったか「香」だったか。それに部長の名前、何だっけ? 作中では「部長」としか言ってないことが多いから、本名、忘れてるぞ。

 あと、「流冥弐久寿」なんて、よくこんな変な名前考えついたな。あと「早乙女寿美歌」も。いつもポメラで打つたびに、「こんな面倒な名前にするんじゃなかった」って思う(笑)。

 どうも使う頻度が少ないと、忘れることが多いようだ。だから原稿の執筆にはすごい時間がかかる。いちいちこれまでの本を横に置き、見ながらでないと書けない。

 てなわけで、これまでずっと停滞していた『BISビブリオバトル部』第五話『夢は光年の彼方に』、ついに完成に近づいた。あーあ、疲れた!


 あと、これまでのこのブログがしばらく停滞していたのも、僕の脳が大切なことを忘れることが多くなったからだ。

 簡単に言えばこのカクヨムの操作が分からなくなったのだ。操作方法なんてずっと覚えてるもんだと思ってたのに、 ころっと忘れちゃうんだなあ。幸い、今日の朝には思い出せたんだけどね。いやー、我ながら情けない。


 キャラの名前以外にも、思い出せなくて困ることがよくある。

 家に来るOT(言語療法士)の人によく出される問題がある。たとえば「団子」というものを「だんご」という言葉を使わずに、どういうものか説明せよという問題だ。これはかなり難しい。あなたも挑戦してみてほしい。

「ええと、和菓子の一種なんですよね……赤とか白とかの色があって……甘くて……えーと、串に刺さってます」

 単純な説明でも一苦労だ(笑)。同じように「線香」とか「カラス」とか「スイカ」とか「カリフラワー」とかの説明も求められる。

 くじけてしまいそうだ。

 その反対に「犬」や「猫」の絵を見せられて名前を答える問題には、すらすらと答えられる。僕の能力は、ものの名前は思い出せないが、名前から性質を思い出すのに支障はないらしい。だがこんな状態でどうやって小説を書くのか。

 というわけで、僕の苦難はまだ続くのである。

 ああ、『ティム』の続きも早く書かないとなあ。いつまでもフルチンのままではかっこ悪い(笑)。

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