発病から1年

 先日、僕が脳梗塞で入院してちょうど一年目、妻がケーキを買って来た。

 それはいいのだが、そこに書いてある文字は、


「1周年おめでとう」


 めでたくねーよ!(笑) 病気なんだよ、僕は。


 リハビリの甲斐あって、最近少しは歩くのが楽になっている。しかし、依然として、脳の働きは鈍い。今、こうしてパソコンで文字を入力するのも、キーボードをぽつりぽつりと叩くことしかできない。1ページを入力するのも数時間かかる。

 おまけに1時間ことに脳を休めなきゃいけない。脳がオーバーヒートするのだ。


 妻は言う。

「いつまでもさぼってたらあかんで。前みたいにバリバリと仕事して稼いでもらわんと」

 ええ、ええ。稼がなきゃいけないのは、僕が誰よりも良く承知してますよ。でも稼ぎたくても、脳が思うように動いてくれないんだよ!

 前にも書いたが、妻は作家の妻のくせに、創作がどんなに大変なことなのかまったく知らない。それどころか小説というものを、親の仇でもあるかのように、絶対に読まない人間なのだ。

 だから小説は「がんばれば書ける」ものだと思い込んでいる。僕が小説を書かないのを「さぼってる」と認識している。こんなふうに僕が日記を書いていても、まったく読もうとしない。

 この誤解、どうすれば解けるんだろう。


 リハビリの先生に言ったら、「リハビリを兼ねて、少しでも小説を書いてみたらどうですか」と言われた。僕もそれを考えていた。もちろん『BISビブリオバトル部』の新作はちょっとずつではあるが書き続けてはいるのだが、それとは毛色の異なる話を書いてみたい。

 ただ、もうSFは無理だけどね。

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