確定申告と『チャリス・イン・ハザード』の話

  今週は確定申告の日だった。


 もちろん、脳梗塞を患った今の僕には、確定申告なんて到底無理である。二桁の計算もろくにできないのに、何ページにも及ぶ計算なんてとてもできるわけがない。今の僕には、高等数学にも等しい難行なのだ。だから、妻と娘による協力が不可欠だった。

 まず妻は、伝票の整理をやってくれた。出版社の収入や医療関係の出費、医療関係の支出、社会保険……全部のファイルをまとめてくれた。

 確定申告の書類を作成するのは娘の役目。どの項目に何を記入するのか、僕がひとつひとつやり方を指示する。厄介なのは出版社のデータをまとめること。僕は仕事先が多いのだ。東京創元社、早川書房、角川書店、採図社……それらの印税と源泉徴収額を出版社ごとに記入しなくてはならない。

 ああ、やっぱり今年の収入はがくっと減ってるな。本が出ないのだから当然だけど。


 実は×××文庫に声をかけてたんである。前に同人誌で出した『チャリス・イン・ハザード』というシリーズがあるんだけど、あれを商業出版できませんでしょうかと。

 ところが何の音沙汰もない。おことわりのメールどころか、メールそのものがぜんぜん戻ってこない。

 ×××文庫の内情に詳しい人に手を回して調べてもらったら、驚くべき理由が判明した。×××文庫は既製の作品のパロディ的なものしか出していない。それに対して『チャリス・イン・ハザード』はオリジナリティが強すぎる。だから断られたんじゃないか……というのだ。

 長いこと小説家やってるが、「オリジナリティがある」という理由で断られるなんて夢にも思わなかった。

 だいたい、断るにしてもメールのひとつもよこさないってどういうことなのか。山本弘の原稿が無償で手に入るんだぞ。この編集者は金が欲しくないのかと思ってしまう。

 

 今、『チャリス・イン・ハザード』はある人のはからいで電子書籍化が動き出している。ある障害があるので、どうなるかはまだ分からないのだが。ただ、何とか単行本にしたいとは思っている。

 チャリスは思い入れのあるキャラクターだし、シリーズの2巻は自分でも「神がかった」と思えるようなすごい出来だから!


 閑話休題。

 妻と娘の協力で何日もかけて出来上がった確定申告の書類は、妻が税務署に出しに行った。前にも言ったけど、今年はン十万円もの還付金が戻ってくるはずだ。

 愛する妻と娘がいて、本当に良かった。


 今週はホワイトデー。娘は、バレンタインデーに近所の小さい子供(男女関係なく)にたんまりチョコレートを配ったもので、ホワイトデーのお返しも大量だったそうな。いいお姉さんになったな、お前。

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