『トクサツガガガ』の最終回で泣けた
先日、NHKのドラマ『トクサツガガガ』の最終回だった。
娘の美月はこの番組のファンだが、あいにく最終回の放映日が大学の卒業旅行の日と重なってしまった。そこで僕と妻は録画し、娘が旅行から帰ったら一緒に見ることにした。
いやあ、感動した!
特に泣けたのが、仲村が『救急機エマージェイソン』の最終話を見るシーン。
何で泣けるんだ? 架空の番組なのに。こんなこと実際にはなかったと分かっているのに。
ドラマの中のことだと分かっているはずなのに。
僕は『エマージェイソン』の元ネタである『特捜ロボ ジャンパーソン』をほとんど見たことがない。「『ジャンパーソン』の最終回で泣いた」という人の話は聞いたことがないから、そんなに泣ける話でもなかったんだろうと思う。
それを言うなら、僕は特撮番組で泣いたことなんてない。多くの人が「あれは泣けた」という『ジャイアントロボ』の最終回でも。今では評価が確立されている『帰ってきたウルトラマン』の「怪獣使いと少年」も、いい話だとはおもうが、泣くことはなかった。
考えてみれば、SFについても同じことが言える。
『冷たい方程式』や『アルジャーノンに花束を』にしても、確かに感動的だとは思うが、泣いてはいない。〈BISビブリオバトル部〉の中で空が感動している『銀色の恋人』『馬の首風雲録』『宇宙のサバイバル戦争』もそう。僕は泣きはしなかった。
でも、感動して泣く人がいるのは知っている。そして僕の小説のキャラクターたちには、そうした物語に感動して泣く、優しい心の持ち主でいてほしいと願っている。
そういう意味では、空は僕の心の一部だ。
その他のキャラクターにしてもそうだ。『七時間目の怪談授業』に感銘を受けた明日香、『戦争を取材する』の著者の山本美香さんのめぐるくだらない陰謀論に腹を立てた武人も、『エスパー魔美』を読んで年上の女性との恋心に目覚めた銀も、それぞれに僕の心の一部を受け継いでいる。もちろん『電送怪人』でミステリの魅力に目覚めた寿美歌、『ラノベ部』でBLの道に落ちたミーナも。
僕とは違い、SFに強く心を動かされてはいないけれど、みんなそれぞれに、生きる道を本に決められた人たち。
もちろん特撮番組もそうで、番外編「空の夏休み」のように、人生を特撮に捧げた人も多いはずである。
そして僕は彼らのための物語を書いている。彼らを感動して泣かせたい。
そして僕と同じことが好きな人に感動を分かち合いたい。
僕が『トクサツガガガ』最終回に感動したのも、それが理由だ。好きな人と喜びを分かち合いたい。
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