美魔女陽子(5)
他の女のところへ行って帰ってこない旦那への当てつけか、それともその寂しさを埋める代償か。
偽物の感情をちらつかせ、空っぽの会話を交わすここは自分にぴったりの場所だ。
「好きだよ」
弦楽器の低音のような声が降ってくる。
頬を一筋の涙が伝った。
陽子はすがりたいのかも知れない。
空っぽは空っぽじゃないんだと、偽りは真実を隠しているだけなのだと。
賢一の中に自分を探すかのように陽子はこのBarに足を運ぶ。
「わたし、ほんとうにケンちゃんのことが好きよ」
好きよ、の声が震えて擦れた。
雨の降る音が聞こえる気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます