三人の女たち(2)


「なんだぁ芽以も連れて行って欲しかったのに」


「なに言ってるの、高校生はお酒飲めないでしょ」


 呆れる美穂を横目に陽子は芽以をなだめるように話題を変えた。


「それより芽以ちゃん、白馬の王子さまに声はかけることできた?」


「まだです。てか白馬の王子さまじゃないですけどぉ」


「陽子さん、芽以は腐女子ですから」


 美穂の眼鏡はもう真っ白になっている。


「腐女子?」


「白馬の王子さまと王子さまが、いちゃいちゃ?っ、てのに萌え?ってなるのが腐女子です」



 美穂は左右の人差し指を絡ませながら湯の中に沈める。


 やめてくださいよぉとふてくされる芽以を陽子と美穂は笑った。



 アラサー美穂に、年齢不詳の美魔女人妻陽子、自分の恋愛には目もくれずひたすらBLの世界に酔いしれる十七歳の腐女子芽以の三人はヨガ友だ。


 毎週土曜のヨガの後はスポーツクラブの風呂場でガールズトークに花が咲く。


 年齢が違っても恋という話題があれば女は意気投合できるのだ。

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