第8話
「ごちそうさま」
「あれ、もういいの?」
僕は、目の前の星の王子様カレーを半分だけ食べて、スプーンを置いた。
「すいません、さっき、サンドウィッチ、食べちゃったんで」
「失礼ね。 ちゃんと食べなさいよ」
リザのやつ、少しは相手のこと疑えよ……
まだ食べようと思えば全然食べれたけど、全部食べるのは危険だ。
飲み物にだって、手をつけていない。
「食べられないんなら、残していいよ。 あと、シャワー浴びたければ、使っていいから」
「ありがとございます」
リザは、カレーを全部平らげてしまった。
まあ、見たところ、不自然な点はなかったし、大丈夫とは思うけど。
「ところで、君たち学校は? 明日は平日だし…… 外で見た時、ちょっと不思議に思ったんだ」
リザと顔を見合わせる。
確かに、明日は学校だ。
でも、当分、サボることになると思う。
「私たち、これからロズウェルに向かうんです。 ガーゴイルを全員ぶっ殺す旅、してるんです」
「わーっ、わーっ、わーっ」
僕は慌てて、大きな声を出した。
後半、聞かれてなかっただろうな?
リザとサンクが不思議そうな目で僕のことを見て来る。
「どうしたのよ」
「えーと、そろそろ眠くなってきちゃったかなぁ…… なんて」
「だったら、2階に部屋があるから、そこに行きなよ」
ガタ、と椅子を引いて立ち上がると、ついてきて、とサンクが言った。
僕らは、その後ろについて2階へと上がった。
その間、リザに耳打ちする。
「ほんとのこと言ったらマズいって!」
「この人だって、私たちと同じ青い目じゃない」
「だからって、ぶっ殺す発言はマズいよ」
「……そうかしら」
ほんと、何考えてんのか分かんないよ……
部屋に案内されると、急に眠気に襲われて、その場にへたりこんだ。
「……うっ」
体が、痛い。
どうやら、床で眠ってしまったらしい。
そんなに疲れていたのか?
いや、そんなハズ、ない。
人の気配がした。
ベッドの上。
リザじゃ、ない。
恐る恐る、僕はその気配のする方を見た。
「……リ、ザ?」
サンクが、リザに馬乗りになって、何かしている。
リザの服に手をかけて、それを引きちぎった。
「なに、してんだ……」
よろめきながら、立ち上がる。
サンクが、こちらを見た。
「……カレーを全部食べなかったからか」
「何を盛ったんだ……」
「睡眠薬さ。 レトルトカレーの袋に、医療用の注射針を使ってね。 穴が小さいから、中味が漏れ出さない」
……しまった。
してやられた。
袋に入ってる時点で、睡眠薬が仕込んであったのか。
サンクは、僕が見ている所で堂々と行為を始めようとした。
僕は、リボルバーに手をかけた。
ブルーベリーストーリー @moga1212
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ブルーベリーストーリーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます