第5話 拉致

小鳥のさえずる音と、町のそばにある農園からのニワトリの音で目がさめる。

ゆっくりと目を開けると、すぐそばにソフィアの顔があった。

一瞬驚いたが、昨日のことを思い出した。


視線を下にすると、いつのまに開けたのか、シャツのボタンが上から3つほど開いていた。

その間から、彼女のたわわな膨らみが顔を覗かせている。

俺は急いで視線を逸らし、起き上がろうとする。

腕に回っていたソフィアの手は、すでに力は無く、すぐ離すことができた。

俺は彼女の髪を撫で、ベッドから起き上がった。

窓の近くに立ち、外を見ると、人々はすでに通りを歩き回っていた。

俺は宿屋の風呂を借りようと廊下を歩く、すると、横の部屋からシャーリーが出てきた。

すでに早くから起きていたのか、彼女は服をしっかりと着ていた。

「おはよう、ウィルさん」

「ああ、おはよう。エマも起きてるのか?」

「まだ寝てます… ところでソフィアは?」

「寝てるよ、あれだったらこっちの部屋に入っててもいいぞ。俺は少し、風呂でも借りようかと」

「良いですね、じゃあソフィアの顔でも見てきます」

階段を降り、主人に風呂と全員分の宿泊料金を払って風呂に入った。

安い値段だったので助かった。


着替えは無いが、身体の汚れを落とせただけでも少しはマシだ。

殴られた傷に染みるが、心地の良い風呂だった。

風呂から上がり、部屋に戻るとその物音でソフィアが起きた様だ。

「あれ…?ここは…?」

「おはよう、酔っ払い」

「おはよう…ってここはどこ?」

「昨日の事覚えてないの?ここは町の宿屋よ」

「宿屋…? 全然覚えてない…」

シャーリーは水を渡す、ソフィアはそれをコクコクと飲んだ。

「で?いつぐらいに農場に戻るんだ?」

俺は部屋のドアにもたれかかりながら、そう聞くと、ソフィアは悩んだ顔をした。

「ちなみに昨日酒場でギャングとやり合ったからな、早めに出た方がいいかもな」

「ええ!?何があったの?」

「君達を一晩貸せとか言ったボンクラどもがいたからとっちめただけだ」

「えぇ、そんなことが…、じゃあ早めに出ましょう」

「分かった、俺はエマを起こしてくる」

俺はそう言い、部屋から出て横の部屋の前に立った。

部屋を何度かノックし、名前を呼んだ。

しばらくすると、中からドスンと大きな音がした。

そして、エマのうめき声が聞こえた。

おそらく、ベッドから落ちたんだろう

「エマ、そろそろ戻るぞ。準備しておけ」

「痛てててて、…あいよ〜」

扉の向こうからエマが答えた。

俺は一度ソフィア達の部屋に戻り、帽子を被って外に出た。

馬車を取りに行き、乗って宿屋の前に停める。

しばらく待っているとソフィア達が出てきた。

「じゃあ帰るか」

「そうね、ほら、エマ達も乗って」

俺は全員が乗ったのを確認し、馬車を走らせた。



太陽に照らされながら、馬車は走り続ける。

昨日ギャングどもに襲われたポイントに近づいた。

人影は見えないが、道路でハゲタカが二つの死体を食べていた。

昨日撃ち殺した奴らだ、6匹ほどのハゲタカが彼らの身体をつつき、肉を食べている。

馬車が近づくと、ハゲタカ達は飛び去ったが、死体を過ぎてしばらくするとまた死体に群がっていた。


ソフィア達はそんな光景を気にせずに、楽しそうに女子トークに花を咲かしていた。

俺は眩しい日光に目を細めながら、ひたすら手綱を握って馬を誘導していた。

時折、人とすれ違うが、彼らは挨拶をするだけでそのまま過ぎ去っていく。

すると、一人の男が馬を横付けしてきた。

「あんた、昨日酒場で揉めてたやつか?」

横を見ると、胸に星のバッジをつけ、クリームホワイトの帽子を被った中年の男だった。

腰には二丁の銃を下げ、口には立派なヒゲが整えられている。

「いや、知らないな」

「金髪で無精髭を生やした筋肉質な男で、茶色の帽子。あんた達の特徴と一致しているな」

すると、ソフィアやエマ、シャーリーは親しげにその男に挨拶をした。

シャーリーは俺に向かって話しかける。

「彼は保安官ですよ、凄腕の」

俺は、ため息をついて男の方を向いた。

「それで?一体何の用だ?」

「いや、別にあんたを捕まえようってわけじゃ無い。ただ、最近町人を脅していたギャングどもを懲らしめた奴がいると聞いてね」

「そうかい、なら感謝状でも貰えるのか?」

俺は冗談でそう言った。

「目撃者が言うには、ギャングに挑んだ男はガッツがあったって言うからな、一度見てみたかったんだ」

「それはどうも。見れたんだからもういいだろう?俺たちは農場に戻るんだ」

「農場?あぁ、ソフィア嬢ちゃんの所か。あんたが噂の居候か?」

「あぁ、そうだ」

そう言うと、保安官は俺を上から下まで見た。

「なぁ、あんた。町の助けになってくれないか?」

「助けだって?どういうことだ」

「最近、ここいらにギャング団が来たんだ。こいつらは中々タチの悪い連中で、女を掻っ攫ったり、殺しを町中でしたり、やりたい放題してるんだ。町の連中はビビっちまってな、皆あいつらのやる事には口を出さないんだ」

「それで?そいつらを取り締まるのはあんたらの仕事だろ。俺には関係のない話だ」

「もちろん俺も取り締まってるが、俺と保安官補佐の二人じゃ中々手が届かないんだよ」

「あいにく俺はソフィアの農場で雇われているんでな」

「そうか…、まあ、無理な相談だとは思っていたさ。俺は町にいるから気が変わったら来てくれ」

「そうだな、気が変わったらな。そういや、あんたの名は?俺はウィリアム・パーカー」

「トム・ジョーンズだ、じゃあまたな」

そう言うと保安官は町の方へと戻って行った。


その様子を見ていたソフィアは俺の判断に笑みを浮かべていた。

「よかった、あなたが保安官にでもなったら、農場の経営が困る所だったわ」

「君は命の恩人でもあるわけだからな、おいそれとどっかに行きはしないさ。そういえば君達は保安官と知り合いなのか?」

「ええ、私の父の友人だったの」

「あたしらは町によく行くからね、よく顔を合わせるよ」

「そうなのか」


しばらくすると、農場が見えてきた。

俺は家に横付けし、ソフィア達を降ろした後馬小屋に行った。


馬小屋横に馬車を止め、繋ぎを離して馬だけを小屋に入れる

ついでに掃除と餌やりを済ませて、家に戻る。

ソフィア達はすでに夕食の準備をしていた。

エマ達も今日は泊まるそうで、明日の朝に出ると行った。

俺は夕食が出来るまでの間、鶏小屋に行き、掃除と餌やりをし、牛舎も同じようにした。

俺は家に戻ると、皆と会話を楽しみながら食事を済ませた。



そして、風呂にも入り、就寝しようとしたその夜の事だった。

エマ達はソフィアの部屋で泊まるそうで、真反対の部屋の俺は一人ベッドに横たわっていた。

帽子をサイドテーブルに置き、目を閉じた。



俺は何か物音に気がつき、目を覚ます。

時計を見ると、3時を指していた。

物音は廊下から複数聞こえた。

ソフィア達にしては多すぎる音が聞こえている。

俺は静かにガンベルトを装着して、拳銃に弾を込め、撃鉄を引いた。

その物音は俺の部屋の前に来ると、止まった。

そして、ドガンと扉を蹴破る音が聞こえた。

しかし、俺の部屋からではなく、反対のソフィアタチの部屋からだ。

そして、いくつもの男達の怒号と、ソフィア達の叫び声が聞こえた。

エマが怒鳴る声も聞こえたが、その直後、何発か人を殴る音が聞こえた。

俺は急いで部屋を出ようとした。

その瞬間、こちらの部屋のドアも蹴破られた。

入ってきたのは一昨日酒場でやりあった一人だった。

俺はそいつに拳銃を向け、引き金を引いた。

そいつの胸に赤色のシミが広がる。

俺は倒れようとするそいつを盾にするように廊下に出る。

すると6人ほどの男達がソフィア達を担いでおり、まさに連れ去ろうとしていた。

「お前ら一体何の用だ!くそ!」

そいつらはこちらに気づき、俺に銃を向ける。

俺はとっさに引き金を引いて、そいつらの命を奪っていく。

何発か俺の近くに着弾したが、俺は怯まず撃ち続けた。

ソフィア達を担いでいる奴らは急いで屋敷を出ようとする。

俺は階段を飛び降り、一階にいた奴らを殺した。

しかし、担いだ男達は外に出てしまった。

俺も追いかけようとすると、外には10人以上がこちらに銃を向けていた。

とっさに俺はドアの陰に飛び込んだ。

その瞬間、凄い数の弾が飛んできた。

俺は腰を低くしたまま、武器庫に入り、ライフルに弾を込めて部屋を出た。

そして、ドア横に隠れて敵を探る。

すると、ソフィア達が馬に乗せられ、連れさられそうになっていた。

しかし、5名ほどがこちらに銃を向けている。

中には一昨日の顔ぶれもいるようだった。

俺は影から少しだけ身を出して、発砲した。

相手も撃ってくるが、近くに着弾するだけだった。

俺はそのまま他の奴らも撃ち殺す。


しばらく銃撃戦が続き、最終的には敵は撃ってこなくなった。

俺はゆっくりと身体を出し、外に出た。

周りを探るが、誰も生きては居なさそうだった。

近くにソフィア達の姿も見えない。

「くそ!くそ!ソフィア達が!ちくしょう!」

俺は近くに転がっている死体を蹴りとばし、武器庫へ戻った。

こうなったらやる事は一つだ、あいつらの所に乗り込んで皆殺しにしてやる。

俺はあるだけの弾を持ち、バッグに詰めた。

持っているライフルを背中にかける

そして、部屋に戻りって帽子を取り、ソフィアの部屋に入った。

中は荒らされており、所々血が飛び散っていた。

多分彼女達が殴られた時のだろう。

俺はサイドテーブルにソフィアの銃を見つけると、ガンベルトに挟んだ。


俺は急いで馬小屋に走り、ルーカスに飛び乗った。

そして、ルーカスの横腹を軽く蹴り、俺は農場から飛び出た。

近くにあいつらの姿は見えない。

俺は町に向けて、全速力で走った。


しばらく走ると、朝がやってきた。

町に着く頃にはすでに6時ごろだった。

俺は酒場に走り、中に入った。

中にはあのクソどもの姿は見えなかった。

俺はマスターに詰め寄った。

「おい!クソギャングどもは何処にいる!」

「い、いや。今日は顔を見てないよ…」

「クソ!誰か!あのクソギャングどもの居場所を知ってるやつはいるか!」

俺は店内にちらほらいる奴らに向けて大声を出す。

皆、知らぬとばかりに首を振る。

すると、マスターがおずおずと話しかけてきた。

「悪い事は言わん、あいつらに関わるな」

俺はとっさに胸ぐらを掴んだ。

「俺の大切な人達が拐われて、関わるなだと!? ふざけるな!」

俺は掴んだ手を離し、保安官のいる建物に行った。

扉を蹴り、中に入る。

「おい!トム!トム・ジョーンズ!あのクソギャングどもの場所は何処だ!」

すると、椅子に座っていたトムが何事かと立ち上がる。

近くに座っているまだ若い男は俺に銃を向けていた。

トムは男に銃を下ろすように言うと、俺に近づいてきた。

「一体どうした?こんな朝に」

「ソフィア達が拐われたんだよ!昨日ギャングどもが大勢で家に押しかけてな!」

「なんだって!ソフィア達が!?」

俺は息が荒いまま、トムに詰め寄る。

「…分かった、助けに行こう。あいつらの居城は知っている。だけど、数はこちらの不利だ。俺たちが全滅するかも知らんぞ」

「あんた達がビビろうと俺は一人でも行く!ソフィア達が拐われたんだ!」

俺はそう怒鳴る。

トムはため息を吐くと、近くに掛けてあるライフルを取り出した。

そして、若い男になにかを話すと、若い男と共に、外に出た。

そして、二人とも馬に乗り、走り出した。

俺もルーカスに乗り、トム達に着いていった。

「どこだ?居城は?」

「あいつらは町外れの廃教会に居城を構えていると聞いた」

「了解。町が心配なら俺一人で行く。あんた達は町に残ってくれ」

「そうはいかない、俺はソフィアの父の友人でね。そいつにソフィアの事は頼まれたんだ。それにあいつらを潰す良い機会だからな」

「そうか、そういやこいつは誰だ?」

俺はトムの横で走る男を見る。

「保安官補佐のジェイコブだ、あんたが噂の男だな?よろしく」

「よろしくな、俺はウィリアムだ」


しばらく3人で道を駆けると乾いた大地にポツリと教会が建っていた。

俺たちは近くまで行き、馬から降りる。

ライフルを握りしめて、教会へ近づく。

すると、教会の中からエマの声が聞こえた。

「あたしはどうなってもいいから!ソフィアには手を出さないでくれ!」

するとすぐに重い音が聞こえた。

おそらく殴られたのだろう。

そして、男達の笑い声が聞こえた。

「俺たちに喧嘩を売るとこうなんだよ!…そろそろいたぶるのも飽きたな。そろそろ姦して、始末するか」

「首をちょん切って町に持ってくか!あの男に見せつけてやろうぜ!」


俺は頭に血がのぼるのを感じた。

俺は教会のドアに近寄り、ライフルを背中に掛けて、左手にソフィアの拳銃、右手に自分の拳銃を持ち出し、撃鉄を引く。

トムとジェイコブはドア横に張り付いた。

「行くぞ、皆殺しタイムだ」

俺はドアを思いっきり、蹴り飛ばした。

埃が舞う中を俺は突入する。

教会の真ん中でエマとシャーリーが縛られており、服はビリビリに破かれていた。

その周りを7人の男が囲んでいる。

すでに何人かは裸になっていた。

「てめえら一体…!」

近くにいた男はそう叫ぶ。

よく見ると酒場で揉めた大柄な男だった。

ズボンからイチモツを出しながら、拳銃を抜こうとした。

俺は右の拳銃そいつに向けて引き金を引き、左手の拳銃でエマの近くにいる男に向けた。

トムやジェイコブも俺の横に立ち、ライフルでギャングどもを撃っていく。

俺も、視界に入るギャングを撃ち続けた。

咄嗟のことで対処しきれなかったのか、ギャングたちはなすすべもなく、倒れていく。

時折、息があるものもいたが、倒れているそいつの脳天に照準を合わせ、トドメをさす。

そして、ギャング達が全て倒れたのを確認すると、ソフィアの銃をベルトに戻した。

そしてエマ達に近寄り、しゃがんで縄を解く。

「大丈夫か?変な事はされてないだろうな?」

「へへ、ウィリアム… 助けに来てくれたんだね…」

エマは片目が腫れ、身体の様々なところに切り傷やアザが出来ている。

シャーリーも同じだった。

「クソ!あのクズ共が!」

怒りのまま立ち上がり、辺りに生きている奴らが居ないか見回した。

俺はソフィアの姿が見えない事に気付いた。

「ソフィアはどこだ?」

すると、教会の机の下から、裸の男と裸に近い格好をしたソフィアが出てきた。

男はソフィアに銃を突き立てる

「てめえら!この女の命が惜しくねえのか!?」

俺はゆっくりと、立ち上がる。

「エドアルド、観念しろ。早くその娘を離せ」

トムは男に銃を向けながら、そう言う。

ジェイコブもトムの横でライフルを構えていた。

「うるせえ!どうせ死ぬなら、てめえらの前でこのクソエルフを犯してやる!このエルフの命が惜しけりゃ、黙って見てろ!!」

エドアルドと呼ばれた男はそう言うと、片手でソフィアの胸を揉み、机に押し付けた。

「ウィリアム…私の事はいいから…こいつを…」

ソフィアは鼻血を出しながら、涙目で俺を見る。

所々顔にアザが出来ていた。

男はその返答に気に入らなかったのか、ソフィアの頬を後ろから叩き、机に顔を叩きつける。


俺はゆっくりと銃を構え、男に向けた。

「貴様、ふざけるも大概にしろ。今なら1発で殺してやる… これ以上はもう我慢できそうにない」

「なんだ?やれるもんならやってみろよ。へへ、この女を殺していいならな!」

そう言うと、銃をソフィアに向けたまま彼女の身体を持ち上げ、俺たちに秘部を見せつけるようにしてきた。

そして、その下からイチモツを入れようとする様を俺たちに見せつけようとした。

イチモツの先端が彼女の秘部に触れる。


俺は、そいつに照準を合わせて、引き金を引いた。

弾は男のイチモツの根元に当たり、千切れた。

そしてそのまま弾は男の腰へと入っていく。

「グギャァァァァァア!!!!」

男はソフィアを離し、自分の股間を抑えながら倒れこむ。

俺は男に近寄り、顔を踏みつける。

そして、そのまま横腹を蹴り上げ、仰向けにさせる。

男は冷や汗をかきながら、喚き散らす。

「て、てめえ!ぶっ殺してやる!俺のナニを撃ちやがって!!」

「そこに転がってる粗末なモノの事か?悪かったな、腐ったソーセージかと思ったよ」

俺は落ちたブツを蹴り、遠くへやった。

そいつは近くに転がっている銃に手を伸ばそうとした。

俺は伸ばした手首に銃を撃つ。

弾は男の親指の付け根に当たり、指が千切れ落ちる。

男は手を抑えながら痛がり、床を転がった。

俺は男の髪を掴み、引きずった。

「てめえ!タダで済むと思ってんのか!!今なら半殺しで済ませてやる!」

「今のお前に何が出来る?ウサギ1匹殺さないだろう」

そして、落ちた縄のそばに行き、縄を男の首にキツく巻き、俺は反対側を掴んで男を引きずり、外へ出た。

教会の外には古びた墓がいくつもあり、いくつか墓荒らしに掘り起こされた墓もある。

俺はそのうちの一つの前に立ち、余った縄で男の足をくぐり、俺は男をその墓に入れた。

「てめえ…何する気だ!止めろ!殺すなら早く殺せ!」

男は遺体の上でも喚き散らしていた。

殺せと懇願しているが、俺は無視してスコップを拾い上げた。

「いい加減にそのうるさい口を閉じろ」

1発スコップで頭を叩き、男に土をかける。

土を男の顔にかけると、うるさい騒音は止んだ。

男が見えなくなると、俺はソフィアの元へと戻った。


ソフィア達はトム達に看護を受けていた。

ジェイコブは包帯を持ってきていたようで、彼女達の患部に巻いていた。


俺はシャツを脱ぎ、ソフィアに掛けた。

「すまなかった…。 あの時もっと穏便な方法で片付けるべきだった。君達がこんな目に遭うなんて想像もしてなかったんだ… 変なことはされなかったか?」

ソフィアはゆっくりと俺を見上げた。

「あなたがすぐに助けてくれたから私も二人も平気よ…、でも、やっぱり怖かった…」

そういうと俺の胸に頭を預けてきた。

俺は彼女の髪を何度も撫でながら謝った。

エマ達もそれにつられるように、震えている。

彼女達も俺のそばに近寄り、俺にもたれかかってきた。

「エマ、シャーリー。君達もすまない… 俺が…俺が悪かったんだ」

俺は彼女達を慰めながら、涙を流した。

安堵の涙か、後悔の涙か。

恐らく、俺は後者の方だった。

そして、神に感謝をした。

無事に助けられた事を




















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