9日目

なに?ペンギンに会いたい?そりゃあちょっと難しいと思うよ。知らないけどさ。どうだろう。あんまりこの辺りでは見ないよ。ペンギン。

ん?カバになりたい?そりゃ無理だよ。変わった子だね。


じっくり腰を落ち着けて花壇のチューリップたちと話し込んでいたらすっかり昼をすぎてる。

「くう、くう」というお腹が鳴るみたいな声をあげて白いペリカンが低い空を飛んで行く。くう。くう。あんなに大きなくちばしに、いっぱい「寝言」をつめこんであんなに膨らんでるのに、小さい短い羽で気のない感じでぱたぱたやっても前になんて進むわけないよ。くう、くう。


赤、赤、赤、赤、赤、黄色の園長さん、赤、赤、赤。園長さん以外はみんな赤色だね。

さあ?どうだろう。そんなことはないよ。君の赤色もとっても素敵だと思う。いいえ。順番なんかつけられないよ。みんなみんなとってもきれいだと僕は思います。ダメ?それはなし?


僕はおもわずため息をついてしまった。どうしたってチューリップたちは「きれい」に順番をつけたがるんだろう。そんなねえ、そんなことは、ん!?園長さんまで。そんな。わかりました。わかったわかった。わかったって!えーい!


右から、1番目にきれい。次の人、2番目にきれい。そのとなりの人が3番。はい。4番。あなた5番。6番。7番。8番。9番。10番。

まじめに?ちゃんと?ばれた?よーし、じゃあねえ。


今度は左のチューリップちゃんから、1番、2番、3、4、5。怒るやら笑うやら。そうやってるあいだに日は傾いて、色のついた光に照らされて。みんなすごくきれいですよ。隣の子を見てごらん。そうだね、手触りのいい布地みたいだ。ほんとやわらかくて優しそうに見えるよ。僕もそう思う。


お互いを見合って、感心して黄色い声でワイワイ言ってたのにガチャンと太陽が壊れると、それっきり会話も途中で置いたまま彼女たちは一斉に花を閉じてしまった。みんな同じ格好で首を傾けて、眠ってしまったのね。

ふーむ。じゃあまたね。聞こえてるかな?


今日はいちにち花壇の前ですごした。

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