夢の世界

黄色の壁は布地みたいにざらざらした感触。僕は手をあてて壁に沿って歩く。こうやって壁を触りながら歩けば迷路の中で迷うことはないのだ。

直角にまがる角をそのままさらさらとなでていく。曲がった先もまた一直線の黄色い道。

天井は少しだけ暗いオレンジ色。


僕は靴を脱いで裸足になった。足で地面を感じていたい。

右手で壁をなでながらずっと歩いた。時間も忘れていくつも角を曲がって、ずっとずっとそうやって壁を触っているうちに指の指紋なんかはとっくにつるつるになってしまったのではないかな。

気が付くと左手で壁を触っていたり、ひたいをおしつけて斜めになって休んでいたり。また歩いていたり。黄色の壁はオレンジ色になって、オレンジの天井は黄色になって。僕は飽きることもなく歩き続けた。


とんとんとんと歩くたびに骨の振動が腰から背骨を伝わって頭蓋骨をふるわせる。

僕は夢の中で夢を見る。煙をあげて崩れる塔。そしてもうひとつ。致命的な砲弾が突き刺さる。

目を覚ますことはないんだ。僕は黄色とオレンジの迷路のなかで、うつぶせになって寝る。

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